人手不足は会社が悪い?
少子高齢化や新型コロナウイルス感染症による影響もあり、人手不足に悩んでいる企業は多くみられます。
また、人手不足に悩んでいて、「人手不足になる原因ってなんだろう?」「人手不足でどんな問題が発生するのか?」と思っている会社経営者の方は多くいるかと思います。
人手不足の解消は、本来会社の優先事項です。
人手不足の現状を放置し、そのままにしておくことで経営が悪くなってしまったり、職場環境の悪化など企業にさまざまな悪影響を及ぼすでしょう。
本記事では、企業が人手不足に陥る原因や発生する問題について紹介します。
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人手不足は会社の責任
はじめにお伝えすると、企業の人手不足は会社の責任といえるでしょう。
基本的に、人員の配置は社長や人事担当の責任であり、権限を持っていない人が勝手に従業員を雇うことはできません。
人を増やすのも減らすのも社長次第ということになります。
そのため、人手不足になった状況は、社長や人事担当に見る目がなかったということなので、従業員には一切の責任はありません。
人手不足の解消は本来会社の優先事項
人手不足の状況が長く続いてしまうと、企業にさまざまな悪影響を及ぼします。
そのため、人手不足の解消は本来会社の優先事項といえるでしょう。
ここでは、人手不足が企業に与える影響について紹介します。
手遅れにならないように、効果的な対策を考えましょう。
事業の経営に影響を及ぼす
人手不足が続くことで、その分業務に携わる人は少なくなります。
必然的に行える業務量が縮小され、本来いる従業員で数多くの業務をこなしたとしても、一人ひとりの業務処理量には限界があります。
これにより、従業員数に応じて事業規模が縮小することが考えられます。
現状を維持することに精一杯の状況では、新しい取り組みや新事業を立ち上げることも難しくなるでしょう。
労働環境が悪化する
人手不足により残業の慢性化や、有給休暇を取得できないといった問題が発生します。
これにより従業員のライフワークバランスが乱れたり、スキルアップが図れずキャリア形成ができないなど、さまざまな悪影響を及ぼすでしょう。
労働環境が悪化すれば、その分従業員のパフォーマンスは低下し、ミスの多発やサービスの品質低下を招きます。
業務が進まないことで、長時間労働が当たり前という悪循環になってしまうこともあります。
従業員のモチベーションが低下する
従業員の肉体的・精神的な負担が大きくなればなるほど、モチベーションの低下が考えられます。
業務を処理することに追われると「やるべき業務を淡々とこなしていく」という状況に陥りやすくなってしまいます。
その結果として仕事にやりがいを感じられなくなったり、仕事に対して前向きに取り組めなくなる場合が考えられるでしょう。
従業員のモチベーションが下がれば離職につながり、人手不足はさらに悪化します。
人手不足に陥る原因
企業が人手不足に陥る原因として、社内(内部環境)の問題と社外(外部環境)の問題が挙げられます。
社内(内部環境)の問題
人手不足に陥る原因は、社内に以下のような問題があると考えられます。
- 募集要項と市場との間にギャップがある
- 採用計画が作りこまれていない
- 入社後のフォローアップなど制度が整備されていない
- 労働・職場環境が劣悪
それぞれ詳しく説明します。
募集要項と市場との間にギャップがある
企業の内情は実際に働いてみなければ分からないことばかりです。
求人情報を鵜呑みにしすぎてしまうと実際は「有給休暇を取得しにくい」「企業が求める能力と自分のスキルに大きな差がある」といったギャップを知ることになります。
このような状況からミスマッチが起き、退職者が出てくる事態となってしまうでしょう。
採用計画が作りこまれていない
採用計画とは、採用活動の指針となる計画のことをいいます。
採用活動におけるスタートとなるプロセスであり、具体的には「いつまでに」「どのようなスキル・志向を持つ人材を何人採用すべきか」などを明確にします。
もしこの採用計画が作りこまれていなかったら、たとえ人を採用できたとしても事業計画の達成に結びつかない「残念な採用」となる可能性が高いでしょう。
入社後のフォローアップなど制度が整備されていない
入社後のフォロー体制が整備されていない状況だと、早期退職やトラブルを招く場合があります。
例えば、社会経験が少ない新しい従業員へのフォローが後回しになっていると、本人は新しい環境で不安やストレスを抱えながら、さらに新しい仕事も覚えなければなりません。
近年多くの企業では、新しい人材の定着率を高めるために、積極的なフォローを行っているところもあります。
相談できる場所や相手がいれば、離職に対するブレーキ効果が期待できるでしょう。
労働・職場環境が劣悪
人手不足は労働環境の悪化を招くでしょう。
それだけで従業員のパフォーマンスが下がり、抜けや漏れなどのミス、品質低下を招くでしょう。
業務がスムーズに進まないことで、さらに残業が増えてしまうことも考えられます。
社外(外部環境)の問題
人手不足に陥る原因は、社内に以下のような問題があると考えられます。
- 生産年齢人口の減少
- 求職者の大手志向の増加
- コロナ禍の影響
それぞれ詳しく説明します。
生産年齢人口の減少
少子高齢化が進んでいる日本の人口は、2008年をピークに減少傾向となっています。
総務省によると、2060年には総人口が9,000万人まで増加し、65歳以上の人口が40%近い水準となることも予想されています。
これにより、生産年齢人口(15歳〜64歳)が減少することで、労働力の減少も考えられています。
この状況下の中で、企業は新しい人材獲得競争に勝ち抜く必要があるでしょう。
求職者の大手志向の増加
新型コロナウイルス感染症の影響拡大により、求職者の中では安定志向の高まりから、大手企業を志望する人が多くなりました。
マイナビが発表したデータによると、企業を選択する際の基準として「安定している」を選んだのが48.8%という結果が出ました。
これは2001年から開始された調査のなかで最も高い割合です。
このことから、求職者の多くは安定性のある大手企業を求める割合が高いことが明らかになっています。
参考:マイナビ「2022年卒大学生就職意識調査」
コロナ禍の影響
新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの事業に影響が及びました。
実際、有効求人倍率も下がっており、人手不足を訴える企業もあります。
中でも社会生活維持に欠かせない医療、小物、物流に関わる「エッセンシャルワーカー」は新型コロナウイルス感染症によって需要が増えています。
今後の働き方のスタンダードが変化し、さまざまな業界で消費者との付き合い方が変わってくる可能性があり、業界の人手不足にも影響すると予想されています。
人手不足によって発生する問題
企業の人手不足によって、発生するとされている問題は以下の3つが挙げられます。
- 労働時間の増加
- 属人的な業務の増加
- 退職者の増加
それぞれの問題について、詳しく説明します。
労働時間の増加
労働時間が増加するということは、従業員の人数と仕事量がマッチしていないということです。
仕事量に対して明らかに人手が足りてないと、一人ひとりに割り当てられる仕事量が大きくなるため、必然的に残業は増えてしまうでしょう。
その結果として、長時間労働が増加してしまうのです。
長時間労働の辛さからさらに人手不足が進み、ますます1人あたりの負担が増えてしまう悪循環に陥るケースも珍しくないでしょう。
まずは従業員数の確保や業務の効率化を優先し、健全な経営ができるよう対策をとる必要があります。
属人的な業務の増加
現場の従業員は日々のルーティンワークをこなすのに必死で、ノウハウの構築や共有、スキルアップに時間を割くほどのリソース
現場の社員は日々のルーティンワークに追われ、ノウハウの継承に時間を割くほどの余裕がありません。ましてや属人化した業務は相応のスキル・経験がないとこなせないため、簡単に引継ぎができるものでもないのです。
現状、属人化した業務の担当者が病欠などによって一時的に離脱しても、何とか乗り越えられるケースが多いです。そのうえ、経営者も売り上げや利益があれば業務の属人化をそこまで問題視していません。しかし担当者が退職すると、属人化した業務に与える影響は大きく、最悪の場合ほかの業務と共倒れになる可能性があります。
人手不足の解消はもちろん、社員が工夫して培ったノウハウやスキルを組織の資産として継承していく取り組みが必要です。
退職者の増加
当たり前ですが、入社する人数よりも退職する人数の方が多ければ、従業員は減っていきます。
退職者が増加している状況では、簡単に人手不足を止められません。
また、このまま採用活動を続けたとしても、すぐに辞めてしまえば人員は増えないでしょう。
景気が良く仕事が増えている状態で新しい人を採用できないと既存従業員への負担が増えてしまい、これがきっかけで不満が生まれ、退職につながる可能性も考えられます。
退職の増加により、「景気はいいけど新しい人を採用できない、退職者が多すぎる」といった事態に陥ってしまうと、事業継続が難しくなってしまう場合があります。
人手不足倒産にならないためにすべきこと
人手不足は深刻な問題で、すぐに解決できるものではありません。
だからこそ会社の制度や労働環境をしっかりと見直したり、対策をとるなど身近な部分から改善していくことや、テクノロジーをうまく活用することで、解決口を見つけられる可能性があります。
人手不足に陥る原因はさまざまです。
そのため、常に情報収集を行い、人手不足の原因に応じた対策を考えることが必要でしょう。