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人手不足

経理の人材が不足する原因と防ぐポイント|現状や人材不足が企業にもたらす影響も解説

SAL編集部
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経理の人材が不足する原因と防ぐポイント|現状や人材不足が企業にもたらす影響も解説

近年、経理の人材が不足している企業が多くなっています。以前よりも人気がなくなってしまった背景には、業務の複雑化やネガティブなイメージなど、経理職特有の理由があります。

そこで今回の記事では、経理の人材が不足する原因と防ぐポイント、人材不足が企業にもたらす影響などを詳しく解説します。

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経理の人材不足の現状

人手不足

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和2年7月分)について」によると、2020年の有効求人倍率が1.08倍に対して、会計事務は0.53倍と低くなっています。近年は、一般的に求人募集よりも求職者の方が多い「売り手市場」ですが、会計事務の場合は求職者よりも求人募集が多い「買い手市場」となっています。

厚生労働省  一般職業紹介状況(令和2年7月分)について

経理の人材が不足する原因

仕事に追われる人

経理の人材が不足する原因として、労働人口の減少や業務の複雑化などが挙げられます。下記では、主な原因を5つ解説します。

労働人口の減少

近年、日本では少子高齢化による労働人口の減少が大きな課題となっています。厚生労働省のまとめでは、1995年の8,716万人をピークに減少傾向となり、2015年の国勢調査では7,629万人と、20年間で約12%も減少しています。

その後も減少は続き、2040年には5,787万人、2060年には4,418万人になると予想されています。これは、1995年の約半分の労働人口です。生産年齢人口(15〜64歳)の減少と共に労働人口も減れば、経理業務を担当できる人口も減るでしょう。

経理の人手不足は一時的なものではなく、今後深刻化する可能性が高い問題であると言えます。

専門的スキルを持つ人材が少ない

経理では企業のお金を管理する役割がありますが、必要なスキルが数多くあります。経理に必要な専門的スキルは、以下が一例です。

  • 基本的なパソコンスキル
  • 簿記の知識
  • 税制に関する知識
  • 法令に関する知識
  • 労働基準法に関する知識 等

経理に関する法令は毎年改正されると言っても過言ではありません。一度知識を身に付けたとしても、随時最新のものにアップデートする必要があります。また、経費精算などでは確認作業などを行わなければならず、コミュニケーションスキルも求められます。その他、膨大な業務を期日までにこなすスケジュール管理力も欠かせません。

このように、経理には必要な知識やスキルが数多く、業務を遂行できる人材の数自体が少ないと言えます。日々の業務に追われているのが原因で、新たな人材を採用しても教育する時間が取れない企業も多く、経理の人材不足は解消できないのです。

業務の複雑化

前述したように、会計法や税法など経理に関する法令は毎年のように改正されています。それによって業務が複雑化していることも、人材不足が発生する原因の一つです。「経理の業務内容は簡単で、誰でもできる」と考えている人も中にはいますが、実際は法律をしっかり踏まえた上で正確に業務を遂行しなければなりません。

また、企業独自のルールも数多く存在し、知識があるだけではスムーズにこなせない業務です。近年は、支払い方法の選択肢が増えたり、企業が提供するサービスが多様化したりするなど、さらに経理業務の複雑化は進んでいます。

そのため、一度経理の職に就いた人材でも複雑で負担が多いという理由で、他の職種へ転職してしまうケースは少なくありません。

ネガティブなイメージがある

経理には「地味で目立たない」「業務が同じルーティン」「冷たい」など、ネガティブなイメージがあります。「ルーティン業務だと成長できない」と考え、敬遠をする人も多いです。

また、決算処理の時期に業務が集中し、残業が続くイメージが強いこともマイナス要因として挙げられます。経理は将来AIに取って代わられるという見解も強まっており、以前ほどの人気がなくなってきています

新しい人材の採用が難しい

前述したように、経理に対してネガティブなイメージを抱いている人は多く、志望する人は以前と比べ減ってきています。そのため、経理をそもそも経理人材を募集しても、応募がこないというケースも考えられます。

また、応募があったとしても複雑な業務に対応できるスキルや知識を兼ね備えていない可能性も高いです。この場合、採用後すぐに即戦力として働くのは難しいため、教育から始める必要があります。

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経理の人材不足が企業にもたらす影響

リスク

経理の人材が不足すると、企業に様々な悪影響を与えます。どれも企業の存続やイメージに大きく影響するものばかりです。下記では、経理の人材不足がもたらす影響を4つ解説します。

パフォーマンスの低下

経理の人材が不足すると、企業全体のパフォーマンス低下に繋がります。例として、月次決算など会社の業績に関わる資料の作成が遅れ、経営判断ができなくなるケースが挙げられます。

状況によっては、他部署の人が経理業務を手伝うことになり、コア業務に時間を費やせなくなるかもしれません。人材不足で余裕がない状態が続くと、新しい人材を採用できたとしても育成や教育などを行えなくなり、いつまで経っても仕事のパフォーマンスが上がらず、負のスパイラルが発生します。

ミスや不正の発生リスクが高まる

企業のお金の流れを適切に把握できないと、経理上のミスや不正発生リスクが高まります。場合によっては、税務調査で厳しい指導が入ることもあるでしょう。経理に関するミスとは、顧客データの漏洩・流出などです。

企業の存続に大きな影響を与え、多額の損害賠償を求められるケースもあります。取り返しのつかない状態になる前に、経理の人材不足は解消しなければなりません。

労働環境の悪化

経理の人材不足が長期化すると、経理を担当している既存従業員の負担が増えます。一人あたりの業務量が増えるため、残業が増えるなど労働環境の悪化に繋がりやすいです。また、経理の業務は正確性や集中力が求められるため、心身の健康に害を及ぼす可能性が高まります。

離職者の増加

労働環境が悪化すると、離職者が増加するリスクが高まります。人材不足による業務過多は、従業員のストレスや健康被害に大きな影響を与えるからです。離職者が増加すると人材不足は深刻化し、既存従業員の負担がさらに大きくなるという負のスパイラルが発生します。日本には労働人口の減少という大きな課題があるため、新たな人材を採用するのは非常に困難です。

経理の人材不足を防ぐポイント

ポイント

経理の人材不足を防ぐための方法として、既存の業務を見直したり、新たなツールを導入したりするなどが挙げられます。下記では、経理の人材不足を防ぐポイントを5つ解説します。

既存の業務を見直す

業務を正しく把握していなければ何が問題なのか分からないため、まずは既存の業務を見直す必要があります。業務フローを一つずつ洗い出し、「誰が・いつ・どのような業務を・どれくらいの時間をかけて遂行しているのか」を把握します。

その上で、現状の問題点・課題に対する解決策を考えていくことが大切です。例えば、他部署からの報告が遅くて業務が圧迫されているのであれば締め切りを早めたり、入出金が多くて仕訳が大変なら会計システムを導入したりする方法があります。

業務フローを洗い出すことで、限られた人数で問題を解決できる方法が明らかになるでしょう。

ツール導入など業務効率化を図る

費用対効果の高い方法で経理人材不足を防ぎたい場合は、経理業務にツールを導入するのがおすすめです。ツールを導入することで、業務効率化に繋がるだけでなく、ペーパーレスやオンライン化も推進できます。

ツールの導入によって業務効率が向上すれば、経理担当者は今まで費やしていた時間を他の業務に割り当てることも可能です。経営状況の改善に向けた施策を考案したり、コア業務に時間を費やせたりするので、他の方法よりも得られる恩恵が大きいと言えます。

アウトソーシングを検討する

経理の人材不足を防ぐ方法として、アウトソーシングの活用もあります。アウトソーシングとは、一部の業務を外部へ委託することです。アウトソーシングすることで、社内のリソースが足りなくても、経理業務を遂行できるようになります。

また、経理に特化した業者に委託することで、自社で対応するよりも正確かつスピーディーに対応してくれます。

人材育成の環境を整える

従業員を育成するために、環境を整えることも重要です。人材育成には「OJT」「Off-JT」「SD」「eラーニング」の4つの手法があります。経理の知識やスキルを持っている人材が社内にいる場合はOJTでも大丈夫ですが、いない場合はOff-JTが効果的です。

一度に多くの対象者を教育できるため、人材育成したい従業員が複数人いる場合にも向いています。

採用方法を見直す

近年、採用方法の多様化が進んでいるため、状況に応じて採用方法の見直しも必要です。人材を確保するために、新たな採用方法の導入も検討してみましょう。ダイレクトリクルーティングやリファラル採用、SNS採用など、求人を出しても応募が集まらない場合は、積極的に取り入れてみると良いです。

  • ダイレクトリクルーティング

    企業が直接求職者にアプローチする方法。企業が求める人材像にマッチしそうな人材のみにアプローチが可能。

  • リファラル採用

    社員や関係者からの紹介による採用方法。自社の社員であれば求める人材像や社内の雰囲気などをよく理解しているため、よりマッチした人材を紹介してくれる可能性が高い。

  • SNS採用

    FacebookやTwitterなどのSNSを活用する採用方法。ダイレクトリクルーティング同様、求職者に直接アプローチすることができる。

  • アルムナイ採用

    一旦離職した社員を再度採用する方法。他社でステップアップしている可能性が高く、自社の制度や状況を理解しているため、採用後の教育などを省略できる。

  • 転職サイト

    転職サイトは数多くあるが、中でも経理求人に特化したサイトを利用すると有効的。

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経理人材の不足には迅速な対策が必要

ビジネスマンたち

今回は経理人材が不足する原因や防ぐポイント、人材不足が企業にもたらす影響などを詳しく解説しました。経理の人材不足は企業に様々な悪影響を与えるため、可能な限り早く解消しなければなりません。

株式会社SALでは、正社員を採用せず利益率を高める新たな経営体制を構築するサービスを提供しています。経理人材の不足に悩んでいる方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

SAL編集部
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株式会社SAL

ピボットCEO(しよー)のSAL編集部は、不確実性が高まる時代において、変革を目指す経営者を応援するメディアです。自社経験に基づくノウハウで、中小企業が変化しやすい組織づくりを支援する「remodooo!」を提供するSALが編集する、主に会社経営者向けのコラムサイトで、お役立ち記事を配信しています。