人材マネジメントとは?基本項目や使えるフレームワークを紹介
人材 マネジメントとは、企業ビジョンや業績目標の実現に向けて、人材を有効に活用管理していく仕組みのことを指します。近年、労働人口減少という社会的な課題もあり、多くの企業が人材不足に対する、課題を抱えています。
そこで人材不足の解決策として、注目されているのが人材マネジメントです。
しかし、人材マネジメントに取り組むにあたって、どのような施策が効果的か分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、人材マネジメントとは何か、どのような施策があるのかを詳しく解説します。
人材マネジメントとは
人材マネジメントとは、会社経営の3大資源といわれる「ヒト・モノ・カネ」の中でヒト(人材)を活用する仕組みを作ることを指します。
具体的な施策例として、以下の通りです。
- 適材適所に人材を配置する
- 成果による評価制度を導入する
人材マネジメントは、個人の能力を最大に発揮できる環境作りをすることで、結果的に会社の発展に貢献することを目的としています。また、従業員のエンゲージメント向上にもつながるため、離職率の低下、生産性向上など人材に関する課題の解決策となるでしょう。
人材マネジメントとよく混合されやすいものに「人事管理」と「労務管理」があります。
以下では、人材マネジメントと人材管理、労務管理との違いを紹介します。
人事管理との違い
人事管理とは、人材の採用・配置、給与や退職金、各種手当などの賃金を管理することをいいます。
一方で、人材マネジメントは、経営の視点を持ち従業員を管理することです。例えば、スキルを発揮できる組織に従業員を配置し成果を上げる、新しい事業を軌道に乗せるため経験者を採用するなど、人材の管理を通して会社の成長につなげるのが人材マネジメントです。
労務管理との違い
労務管理とは、社員の労働時間などの時間、福利厚生などの管理や、労使協調体制の構築を通して従業員が働きやすい環境を作ることです。
前述したように、人材マネジメントは経営的な視点を持っているのが、通常の管理業務との違いです。そのため、従業員のエンゲージメントを上げ利益を拡大させる仕組みをつくるために、人材マネジメントの取り組みを通して働きやすい環境や制度を作るという考え方となります。
人材マネジメントの内容
適切で効果的な人材マネジメントを行えば、優秀な人材確保や、離職率の低下が期待できます。人材マネジメントの質を上げるための、具体的内容には以下の5つがあります。
- 人事採用
- 人材育成
- 人事評価
- 報酬制度
- 人材配置
5つの要素から得られる効果を紹介します。
人材採用
会社にとって適切な人材を採用できれば、企業の競争力を高めたり、業績の向上が期待できます。採用活動に入る前に、経営戦略を振り返り必要な人物像、人数などを具体的に絞り込んでおくことが大切です。
人材育成
従業員一人ひとりに合った育成をすることで、個人が能力を発しやすくなります。
具体的な方法には、新入社員には社会人研修やOJT、中堅社員にはマネジメント研修や専門スキルを高める講習の受講などが挙げられます。個人スキルの把握や育成計画を立てることで、よりレベルの高い人材育成が可能です。
人事評価
従業員の働き方や成果に合わせて適切に評価することで、従業員のエンゲージメントの向上に繋がるでしょう。従業員の働き方や成果を見ながら客観的かつ、納得感の高い評価制度を構築することが重要です。
報酬制度
成果を正しく評価し、見合った報酬を与えることで、従業員一人ひとりのモチベーション向上に効果的です。
成果に対して、一時金を支払うインセンティブの導入なども検討してみましょう。インセティブの導入は、個人のパフォーマンス向上にも繋がります。
人材配置
従業員の個性や能力に合わせた適切な部署に配置することで、個人の能力の発揮を促すことにつながります。適材適所に従業員を配置するには、従業員の特性やスキルを正しく把握することが重要です。
適切な人材配置は、従業員の経験値が上がったり、組織の生産性が上がったり、従業員・会社双方にメリットがあります。
人材マネジメントのフレームワーク
人材育成を効果的に行うには、フレームワークの活用がおすすめです。フレームワークとは「枠組み」のことを指します。人材マネジメントにおいて課題や意思決定する際に、フレームワークに当てはめて考えることで、最善の方法を見つけやすくなるでしょう。
フレームワークには様々なものがありますが、この章では実際に使える以下3つのフレームワークを紹介します。
- カッツ理論
- HPI (Human Performance Improvement)
- 70:20:10の法則
カッツ理論
カッツ理論とは、ロバート・カッツより提唱された、ビジネススキルと人材の関係性について言及された理論です。マネジメントを行う層を3つに分類し、さらには役職に合わせた必要な能力を3つに表現し、職層の違いによって必要なスキルの比率が変化していくという考え方です。
マネジメント層とは以下の3層です。
- トップマネジメント
- ミドルマネジメント
- ローワンマネージメント
トップマネジメントは、社長やCEOといった経営者層のことです。会社経営をする最も高い責任者であり、状況を判断し意思決定する立場の役職者です。
ミドルマネジメントは、現場と上層部をつなぐ役割を担っています。主任や課長、部長といった中間管理職と呼ばれる立場の役職者です。
ワークマネジメントは、常総管理者の意思決定を現場で実行する立場の役職者です。店長やプロジェクトリーダーのような従業員がそれに当たります。
次に、必要とされるスキルを3つのスキルは以下の通りです。
- テクニカルスキル
- ヒューマンスキル
- コンセプチュアルスキル
テクニカルスキルとは、業務遂行能力のことで会社が、決定した目標や経営戦略を推し進める行動力のことを指します。必要なパソコン活用力、メールのやり取りに必要な文章能力など、業務を行うために、必要な基盤となる能力です。
ヒューマンスキルとは、各関連部署や社内外に問わず、人と意思疎通を図り良好な人間関係を築く能力のことです。チームの方向性を示すリーダーシップや、後輩を育成するコーチング力などもヒューマンスキルに含まれます。
コンセプチュアルスキルとは、目の前の状況で問題を捉え課題分析を行い、解決策を見出す能力のことです。例えば、論理的思考で説明をするロジカルシンキングや、ひとつを多角的に考察するラテラルシンキング、トラブルに応じて臨機応変に対応する柔軟性や応用力などです。
職層による必要なスキルの比重を表したものが以下の図です。
引用:キャリアコンサルタントドットネット|カッツ理論とは? テクニカルスキル/ヒューマンスキル/コンセプチュアルスキル
カッツ理論を参考にすることで、従業員がどのようなスキルが必要なのかを把握できます。足りてない知識やスキルがあれば、従業員に合った教育を行うことで、効率的な人材育成が可能となります。
HPI (Human Performance Improvement)
HPIとは、ヒューマンパフォマンスインブルーメントの略で、組織の課題解決を人材の視点から捉え、改善活動に取り組む方法です。本来の理想的な人材の姿と現状を比較し、ギャップを抽出し根本的な原因を探ります。
そして、理想的な人材の状況と現状とのギャップを埋めるために、適切な施策を計画し、実行、評価までの一連のプロセスを行います。
HPIの取り組みは、人材育成に関して再考できることや、自社に必要な人材育成方法を見つけ出せることなどが大きなメリットです。適切な人材育成は、人材マネジメントを行う上でも重要な要素となります。
70:20:10の法則
70:20:10の法則とは人が成長する際に役立つとされる要素は、「70%が経験、20%が教養、10%が研修である」という定説のことをいいます。70:20:10の法則は、経営人材のリーダーシップ開発のために生まれたものです。
3つの要素である経験・教養・研修は以下の通りです。
- 「経験」とは、自分自身の行動によって身についた知識や技術のこと。
- 「教養」とは、周囲の人から受けた影響やアドバイスのこと。
- 「研修」とは、研修や書籍などから得た情報のこと。
このように、経験が70%を占めていることから、人材マネジメントにおいては、従業員に業務に関する経験を積める環境づくりが重要です。ただし、教養や研修も必要であるため、適宜、研修会やセミナーの開催なども行いましょう。
人材マネジメントの基本方針
効果的な人材マネジメントを行うための、3つの基本的な方針を紹介します。
- 従業員ごとの目標を設定する
- 人材育成に力を入れる
- 従業員とのエンゲージメントを大切にする
それぞれの方針について詳しく解説します。
従業員ごとの目標を設定する
目標設定は、従業員モチベーションの向上に繋がります。目標を設定する際は、会社側が一方的に押し付けるものではなく、従業員の考えや希望などを考慮して設定することが重要です。
自分自身で立てた目標を達成するために、従業員の労働意欲向上も期待できるでしょう。また、従業員が成果を達成しようと努力することは、企業の利益拡大にも直結します。
さらに、目標達成した場合の、表彰制度やインセンティブ制度の導入も効果的です。従業員が会社への貢献を実感でき、業務に主体的に取り組めるような環境作りを行いましょう。
人材育成に力を入れる
人材育成に力を入れることで、個人が持つ能力を最大に発揮することができます。従業員全員が日々成長することで、会社の業績アップや生産性向上にも繋がります。
人材育成には、OJT、OFF-JT、研修会、セミナーなど様々なものがありますが、重要なことは、従業員一人ひとりに合った育成方法を行うことです。そのためには、会社や上司が従業員が持つ特性やスキルを把握しておく必要があります。
定期的な面談や日々のコミュニケーションを通して、従業員に対する理解を深めましょう。
従業員とのエンゲージメントを大切にする
エンゲージメントとは、会社愛・愛着・信頼という意味合いです。エンゲージメントが高いことは、会社と従業員との間で信頼関係を築いているという状態を指します。
エンゲージメントが低いと、社員の早期離職、優秀な人材の流出などさまざまなデメリットがあります。
そのため、人材マネジメントで結果を得るためには、エンゲージメントを高めるための施策も同時に行うことをおすすめします。
人材マネジメントは戦略設計から入ろう
記事では、人材マネジメントの具体的内容や代表的なフレームワークを紹介しました。
適正人材マネジメントを実行すれば、従業員にとっても、会社にとっても数多くのメリットが存在します。そのためには、効果的なワークフレームを使用したり、基本方針に沿って取り組みを行うことが重要です。
人材に関する課題を抱えている経営者の方は、本記事を参考に人材マネジメントに関する理解を深め、基本方針を押さえた上で効果的に運用しましょう。