KPOの意味とは?

KPOとは、アウトソーシングのうちの1つで、主に「知的業務処理」を委託することができます。
近年、グローバル化の発展により、従業員のリソースが不足してしまうケースが発生しています。このような問題を解決する策の1つとして、業務をアウトソーシングする方法が効果的です。
本記事では、KPOのメリット・デメリットや選ぶ際のポイントについて紹介します。
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KPOの意味とは?
KPO(Knowledge Process Outsourcing)とは、ナレッジ・プロセス・アウトソーシングの略です。主に情報分析を行なっており、知的業務処理を社外にアウトソーシングすることです。
2000年代はじめから欧米企業を中心に拡大されてきた考え方で、近年は日本の企業でも利用しているところが増えてきています。
KPOでアウトソーシングできる主な業務は、データ収集やデータ分析といった、データを扱う専門性の高い業務を委託できます。数字に強いKPOに委託することで、企業の売上アップにもつながるでしょう。
たとえば、営業の資料作成をアウトソーシングした場合、委託先に蓄積されているデータに基づいて資料を作成します。そのため、自社で資料作成するよりも成約率が高くなることも期待できます。KPOをうまく活用することで、経営向上を目指せるでしょう。
アウトソーシングの種類
ここでは、KPO以外のアウトソーシングの種類を紹介します。それぞれについて、詳しく説明します。
BPO
BPO(Business Process Outsourcing)とは、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略です。業務プロセス内で、特定の定型作業を分けて委託するのではなく、業務プロセスをすべて委託します。
プロジェクトの企画・設計から実施、実施後のフォローや改善までの工程をまるごと、ノウハウのある専門のプロに継続して委託するようなイメージです。
BPOでは、プロセスの部分的な定型作業のみを委託するよりも、委託先企業の自由度が高い傾向があります。このことから、従来のマニュアル化された業務や単純作業以外の業務も、委託可能といえるでしょう。
近年ではマーケティングといった、より専門性が求められる業務がBPOとして委託されるなど業務の幅が広がっています。
ITO
ITO(Information Technology Outsourcing)とは、インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシングの略です。IT分野で具体的には、社内システムの設計・開発・保守や自社のWebサイトのメンテナンス、サーバー管理やソフトウエアの設計・開発といった幅広い業務を行います。
ITの分野は進化するスピードが速いため、最新技術や豊富な知識を持っている人が社内にいるわけではないため、アウトソーシングの需要は高いといえるでしょう。
KPOが高まっている理由
近年、企業活動のグローバル化が発展しており、これにより業務規模の拡大で従業員のリソースが不足してしまうケースが発生しています。
このような問題を解決するために、アウトソーシングを活用する企業が増えているのです。激しい競争を勝ち抜くために、コア業務に注力する必要が高くなっていることも、アウトソーシングの需要が高まっている理由の1つです。
その他にも、アウトソーシングの需要が高まっている背景には、少子高齢化による労働力の減少も挙げられます。企業によっては、会計や税務などの専門知識を持っている人材を確保することが難しい場合もあるでしょう。限られた従業員数で成果を出すためには、専門的技術・知識を必要とする業務をアウトソーシングして、社内のリソースをコア業務に集中させなければならないのです。
KPOのメリットとデメリット
ここでは、KPOを取り入れることによって得られるメリットとデメリットについて紹介します。
KPOのメリット
KPOのメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- 品質向上が期待できる
- コア業務に集中して取り組める
- 属人化を防げる
- 固定費の削減
- 組織編成を図ることができる
品質向上が期待できる
KPOのメリット1つ目は、品質向上が期待できることです。アウトソーシングする際の委託先企業は、委託する分野のプロで業務の遂行に必要な環境も整っています。
そのため、KPOに委託することで、社内で対応するよりも効率的かつ高精度に業務を進められるほか、業務の品質向上にも期待できます。
コア業務に集中して取り組める
2つ目のメリットは、コア業務に集中して取り組むことができます。ノンコア業務をアウトソーシングすることで、経営資源をコア業務に集められます。
経営資源に集中することによって、企業の強みや価値が高まり、コア業務の発展にもつながります。
属人化を防げる
3つ目のメリットは、属人化を防ぐことができます。属人化とは、特定の業務が特定の社員に偏ることで、その業務を特定された社員でなければ理解できなくなってしまう状態のことです。
マニュアルを作成してアウトソーシングすることによって、作業が見える化し、属人化の防止につながるでしょう。
アウトソーシングする際の発注や納品、進捗管理といった業務も含めてマニュアル化することで、業務の可視化をさらに進められます。
固定費の削減
4つ目のメリットは、固定費を削減できることです。アウトソーシングで発生した費用を、変動費として扱うことが可能です。変動化することによって、状況に合わせて委託する量を調整でき、アウトソーシングした業務は採用や研修などで掛かる費用を抑えることもできます。
アウトソーシングによって、業務に伴うシステムや設備に必要なコストを削減できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
組織編成を図ることができる
5つ目のメリットは、組織編成を図ることができます。企業が成長し、ルールが増えていくと、組織の肥大化が懸念されます。組織が肥大化することで、作業効率の低下や、不要なルールが社員の意欲を奪ってしまうなどの問題が発生します。
そのような場合にアウトソーシングすることで、プロセスのスリム化や組織編成を図ることが可能です。
KPOのデメリット
KPOのデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- ノウハウの蓄積が難しい
- 情報が外部にもれるリスクがある
- コスト削減につながらない可能性がある
ノウハウの蓄積が難しい
KPOのデメリット1つ目は、ノウハウの蓄積が難しいことです。アウトソーシングした業務を社内にノウハウを蓄積することは難しいです。それがノンコア業務であった場合も、ノウハウが蓄積されていないことで業務体系を図ることが難しくなってしまったり、実行までのスピードが低下することも考えられるでしょう。
例えば、委託先企業が倒産してしまったり、アウトソーシング事業からの撤退が発生した場合、自社にノウハウがなければ業務が順調に進められないリスクも考えられます。
情報が外部にもれるリスクがある
2つ目のデメリットは、情報が外部にもれるリスクがあることです。個人情報や機密情報を、アウトソーシングする場合もあるでしょう。委託先企業
において、それらの情報が漏えいするリスクがあります。
アウトソーシングを委託する前に、セキュリティ体制も重視して委託先を選ぶ必要があります。
コスト削減につながらない可能性がある
3つ目のメリットは、コスト削減につながらない可能性があることです。アウトソーシングするためには、社内で業務プロセスの作成・整理やマニュアル化をし、委託先企業のルールを決めます。委託後も進行確認や成果物のチェックなどに一定のコストが発生します。
目先のコスト削減だけにとらわれてしまうと、さまざまな問題が発生し、その問題を解決するために委託先企業のスタッフが対応する必要が出てくれば、結果的にはコスト削減にならない可能性も考えられます。
委託しようとする業務が社内でどのような役割を持っているのかを再確認し、全体最適の視点を持ちましょう。全体最適とは、企業や組織などが最適化された状態を示す経営用語の1つです。
役割に合った成果を出せる委託先企業に委託することが大切です。
委託先を選ぶポイント
委託先を選ぶポイントは、以下の通りです。
- コストと品質のバランス
- セキュリティ面
- 実績
- 業務範囲
委託先を選ぶ際は、自社の目的や得たい効果を明確にし、総合的に判断することが需要です。
コストと品質のバランス
委託先を選ぶにあたって、コストと品質のバランスは重要な要素です。具体的なコストを確認したうえで、それに合った品質や成果が得られるのかどうか判定しましょう。
コストを見極める際は、総合的な視点が大切です。アウトソーシングには「ノウハウの蓄積が難しい」などのデメリットがあり、それらを考慮したうえで、長期的に見据えたコストで計算します。
また、「アウトソーシングは投資」という考え方をすることも重要です。予想よりコストが掛かってしまったとしても、高い専門性や技術力のある委託先に依頼することで、多くのリターンを得ることができます。会社にとってプラスになっているのであれば、アウトソーシングの価値があると判断できるでしょう。
セキュリティ面
アウトソーシングに委託する内容には、個人情報や機密情報などさまざまなプライバシーに関する情報が含まれている場合があります。そのため、セキュリティ対策や社内ルールなどを定めた、セキュリティポリシーの提示を求めましょう。
委託する際は、委託する企業のセキュリティレベルを事前に確認することが需要です。個人情報の取り扱いに関して、適切だと判断された企業に与えられるマークや、実績の豊富さも1つの判断基準になります。
実績
アウトソーシングする業務が専門性の高いものであれば、求める水準に達しているかどうかを注意して見極めましょう。
打ち合わせの際に、業務内容や業務効率化の改善などの提案がある企業は、品質にも期待できるため、実績の確認は重要だといえます。
業務範囲
委託先企業の業務範囲や規模などを、事前に確認しましょう。
委託企業の成長に伴い、受託料の増加や受託分野が広がったりした場合でも対応可能な業務範囲内であれば、その後も長くアウトソーシングを委託できます。
KPOのまとめ
KPOを活用により、コア業務に集中して取り組むことができたり、組織再編に役立てたりすることが可能です。
また、付加価値の高い業務をKPOに委託することで、さまざまなメリットを得られます。
自社の業務で課題を感じている場合は、KPOを取り入れてみてはいかがでしょうか。