BPO（アウトソーシング）と人材派遣の違い

BPOと人材派遣の違いは、直接業務指示をできるかどうかです。

BPOとは「Business Process Outsourcing」の略で、業務全般を外部のBPO専門企業に委託することを指します。業務に従事しているスタッフへの指示はBPO専門企業が行うため、委託する側から業務指示をすることはできません。

一方で、人材派遣の場合、業務に従事するスタッフに対して指示を出すことができます。ただし、雇用元は派遣会社となるため、契約内容に関して交渉するのは注意が必要です。

BPOと人材派遣のサービス内容

下記では、BPOと人材派遣のサービス内容をそれぞれ詳しく解説します。

BPOの業務内容

BPOの主な業務内容は、以下の通りです。

人材育成

自社の生産性や効率性を高めるためには、優秀な人材が必要です。BPOを導入することで、人材採用や育成を委託できます。例えば、人材採用する場合、募集から採用決定までをBPO専門企業が代行してくれます。また、採用した人材の育成も委託可能です。研修受講者の管理や講師の選定、研修効果の測定まで代行してくれます。人材採用や育成は、時間的コストが非常にかかるため、BPO専門企業に委託することで、従業員はコア業務に集中できるようになります。

経理総務

経理業務はノンコア業務の中でも頻繁に発生する上、処理するのに時間もかかります。特定の時期に業務量が多くなるため、残業時間も増えやすいです。経理をBPO専門企業に委託することで、伝票記帳、決算業務、請求書の管理、支払代行などの業務を代行してくれます。また、備品や名刺の管理をはじめ、出張時の各種手配というような総務業務も専門企業が処理してくれます。

受付業務

規模の大きいオフィスの企業では、受付業務をBPO専門企業に委託している場合があります。来客応対から電話の取次までの業務を一貫して対応してくれます。また、オフィスに来客した人の情報を管理・報告するサービスを提供している専門企業もあります。

事務作業代行

重要度の低い事務作業をBPO専門企業に委託することで、従業員はコア業務に集中できるようになります。オフィスに届いた荷物の受け取りから仕分けという面倒な業務も委託できるため、仕事の効率性が高まります。

コールセンター

特にBtoC企業では、顧客対応のためにコールセンターを設置するケースが多いです。コールセンター業務をBPO専門企業に委託することで、人材やシステムなどの経営資源が不要となるため、コスト削減に繋がる可能性があります。

システム開発

自社に必要なシステムを開発してくれるBPO専門企業もあります。ITシステムやデータベースの設計、開発などを委託することで、自社内に知識のある人材がいない場合でも、システムを導入することが可能です。

データ処理

企業が集めた情報を処理してくれるBPO専門企業は多いです。スキャニングやデータ入力、集計、分析などのデータ処理を一貫して委託することができます。

マーケティング

自社の製品やサービスの認知度や売上を上げるためには、マーケティング活動が不可欠です。自社内に知識を持っている人材がいない場合は、顧客管理や情報発信、レスポンス分析などの業務を全て委託すると良いでしょう。ターゲットへの販売促進を効率良く進められます。

人材派遣の業務内容

人材派遣の主な業務内容は、以下の通りです。BPOよりも人材派遣の方が業種が幅広いことがわかります。

金融系	・銀行・信託銀行業務・証券業務・投信・投資顧問業務・生保・損保事務
営業・サービス系	・営業・企画営業・ラウンダー・販売・接客・カウンター受付・テレオペ・コールセンター・SV
オフィスワーク・事務系	・一般事務・OA事務・営業事務・学校事務・経理・総務・人事・法務・特許・企画
メディカル・ヘルスケア系	・臨床開発・治験・MR・安全性・学術・医療事務・介護関連・看護師・准看護師・保健師
製造・物流・軽作軽作業系	・製造・物流・軽作業
IT・エンジニア系	・IT系・クリエイティブ系・メカトロニクス・エレクトロニクス系・プラント系

BPOと人材派遣のメリット

下記では、BPOと人材派遣のメリットをそれぞれ解説します。

BPOのメリット

BPOの主なメリットは、以下の通りです。

コスト削減に繋がる

経理や総務などノンコア業務を対応していた従業員がコア業務専念できれば、企業の収益を上げやすくなります。もちろん、委託するコストはかかりますが、BPO専門企業に委託する方が総合的なコストを削減できる可能性が高いです。

業務効率化に繋がる

BPOを導入する際に、業務フローの見直しをすることになります。「コストをかけてまでやるべきことか？」と検討した上で、BPO専門企業に委託するため、不要な業務の削減に繋がります。これによって、BPO導入前に比べて、業務効率化が図れるのです。

専門企業のノウハウを活用できる

BPO専門企業には、さまざまなノウハウや経験が蓄積されています。専門性の高い人材が揃っているため、社内にないスキルやリソースを利用できるのが大きなメリットです。また、高い品質も期待できます。

人材派遣のメリット

人材派遣の主なメリットは、以下の通りです。

コスト削減に繋がる

人材派遣はBPOと同様、コスト削減に繋がります。人材派遣を活用する場合、派遣社員の各種保険・労務対応、人材採用・育成のコストがかかりません。そのほか、採用活動や研修などにかかる時間コストも削減できます。

業務効率化に繋がる

業務には定量型と定性型のタイプがあります。定量型は社員以外が対応しても問題ない業務が多いため、人材派遣を活用するのがおすすめです。派遣スタッフに依頼することで、従業員は企業の売上に直結するコア業務に専念できるようになります。

専門性の高い人材を確保できる

専門性の高い人材が多く登録している人材派遣企業も中にはあります。社内に知識を持っている人材がいない場合、人材派遣を活用することで即戦力として迎えることが可能です。既に経験やノウハウのある人材を受け入れられるため、人材育成を行う必要がありません。

BPOと人材派遣のデメリット

BPOと人材派遣のメリットは多いですが、デメリットも少なからずあります。両方をしっかり理解した上で、導入を検討することが大切です。

BPOのデメリット

BPOの主なデメリットは、以下の通りです。

契約すると解約が難しい場合がある

BPOはアウトソーシングの一種ですが、業務を一括して委託します。そのため、長期的な契約になる上、解約したいタイミングで解約できないケースもあります。BPO専門企業の中にはお試し期間を設けているところもあるので、比較検討した上で、導入することが大切です。

情報漏洩のリスクがある

社内の情報をBPO専門企業に共有するため、情報漏洩のリスクもゼロではありません。プライバシーマークやISMSなどを取得している企業だと、より安心して委託できます。

導入費用が高額になる場合がある

BPOを導入するとコスト削減に繋がりますが、場合によってはBPOを導入した方が高額になることもあります。人材を新たに雇ったり、従業員を異動させたりした方が低コストになるか確認した上で、BPOを導入することが大切です。

人材派遣のデメリット

人材派遣の主なデメリットは、以下の通りです。

業務と就業期間に制限がある

派遣契約を締結する際に、派遣社員へ依頼する業務内容を定めます。契約後、契約範囲外の業務を依頼するのは契約違反となるため注意が必要です。また、一般的な派遣社員は、派遣期間に制限があります。

長期的に重要なプロジェクトなどに携わる場合、業務が終わるよりも先に派遣契が終了してしまう可能性があることも考慮しなければなりません。派遣社員の契約が終了する際は、業務を把握している人材が社内に誰もいないという事態に陥らないよう、派遣社員の業務内容を日頃からしっかり把握し、契約終了までに引き継ぎを終わらせておくことが大切です。

育成コストが少なからずかかる

専門性の高い人材を受け入れる場合でも、育成コストがゼロという訳ではありません。企業ルールや担当業務の説明が必要です。人材派遣の場合、業務指示は派遣先企業の責任となるため、しっかりサポートすることが大切です。

BPOと人材派遣どちらを導入すべきか？

業務だけでなく、業務指示も委託したい場合はBPOがおすすめです。一方で、業務に従事するスタッフに直接指示を出したい場合は、人材派遣の方が良いでしょう。派遣先企業と派遣社員は指揮命令関係にあるため、業務に関するやり取りは直接行うことになります。

BPOと人材派遣のそれぞれ違いを理解してから導入を検討しよう

今回は、BPOと人材派遣の違いを詳しく解説しました。BPOと人材派遣の違いは、業務指示できるかどうかという点にあります。どちらもメリットは多くありますが、デメリットも存在するため注意が必要です。

両方をしっかり理解した上で、導入を検討するようにしましょう。株式会社SALでは、正社員を採用せず利益率を高める「在宅チーム構築支援」を行っています。人材不足の解消や業務効率化の実現に繋がるため、課題のある企業様は一度お気軽にご相談ください。