過重労働対策とは?企業が取り組むべき解決策を紹介
過重労働は従業員に大きな負担をかけてしまうため、離職へとつながる可能性は高い傾向にあります。働き過ぎによる過労死も問題視されており、残業の多い企業において過重労働は早急な解決が求められる課題です。
本記事では過重労働が引き起こすリスクや対策方法を解説します。過重労働が起こる原因についても説明するため、過重労働に対策を深く理解したい方は本記事を参考にしてみてください。
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そもそも過重労働とは
過重労働とは、残業や休日出勤が慢性的に多いことで、労働者に身体的や精神的な疲労が蓄積している状態を意味します。月に80時間の残業が行われると、過労死してしまう可能性があるため働き過ぎには注意が必要です。
過重労働には興奮や緊張といった精神的負荷、強制的な身体的負荷などの危険があります。また、2~6カ月を平均して月80時間を超えること、月100時間を超える残業があることにより、脳卒中や心臓病リスクがあるとされています。
過重労働が引き起こすリスク
過重労働が引き起こすリスクとして以下の具体例が挙げられます。
- 業務の非効率化
- 人件費の増加
- 社員の身体的な健康障害
- 人材定着が困難
過重労働が原因で企業にはさまざまなデメリットを受けることになります。企業に損害をもたらさないためにも、過重労働が企業にどんな悪影響をあたえるのか把握する必要があります。ここでは、過重労働が引き起こすリスクを解説します。
業務の非効率化
過重労働は肉体的や精神的に社員を追い込んでしまうため、かえって業務が非効率になり、生産性が下がる可能性があります。
過重労働による睡眠不足や健康障害が起こってしまうと、本来の業務に集中することができなくなるうえ、ミスや事故などの原因になる恐れがあります。
また、ミスは業務の非効率化につながってしまい、企業の業績が悪化してしまうなど、過重労働が続く限り負の連鎖は続いていくことが考えられます。
人件費の増加
従業員の残業時間が多くなるほど企業の人件費は増加するため、利益率の低下につながります。
時間外労働や深夜労働、休日労働などの時間外手当が発生する場合、時間外労働や深夜労働に対する給与の割増条件は25%以上、休日労働に対する割増条件は35%以上となっています。
残業代が高くなるだけでなく、社会保険料も増加するため、過重労働が引き起こす人件費の増加は多くの企業で大きな課題です。
社員の身体的な健康障害
過重労働が続くと従業員は精神的・肉体的に疲弊し、健康被害が出る可能性があります。
労働時間の多さは脳や心臓の疾患などを引き起こす原因となり、最悪の場合死に至ることもあるため注意が必要です。
従業員の身体的な健康障害を起こさないことは、企業が当たり前に行うべき安全配慮義務です。安全配慮義務を違反した場合、労働者に対して損害賠償などの責任を負わなければならないため過重労働を強いるのは避けましょう。
人材定着が困難
過重労働は肉体的や精神的に従業員の負担を増やすため、離職率を高めることになってしまいます。
退職者が増えると新たな人材を採用しなければならないため、人材確保のコストがかかるうえ、最悪の場合新規で入社する人材が確保できないことも考えられます。
また、従業員が企業の過重労働に関する情報をSNSにアップしたり労働基準監督署などに相談したりすることで、企業名が公表される可能性があるため、社会的な信用を失うだけではなく人材の確保もさらに難しくなります。
過重労働が起こる原因
過重労働が起こる原因は以下の通りです。
- 人手不足
- 職場風土
- 業務過多
特に人手不足や業務過多は過重労働に直結する項目であるため改善が必要です。職場風土に関しても、意識を変化させる必要があるため真剣な取り組みが必要です。ここでは、過重労働が起こる原因について解説します。
人手不足
労働人口の減少に伴い、社会的に人手不足が深刻な状況となっているため、企業内も慢性的な人手不足になっています。良い人材を採用することもできず、生産性が落ちてしまう企業も少なくありません。
業務量が変わらずに人手不足になると、従業員ひとり当たりの業務が増えてしまうため、過重労働につながります。労働環境に耐え切れず、離職する人も多くいるため、結果的に人手不足になってしまう可能性があります。
職場風土
職場の風土で従業員は残業を強いられている可能性もあるため、マネジメント層や管理職が残業削減を目標にしなければ、過重労働の問題は解決できない可能性があります。
日本人の人間関係を重視する気質から、企業が「残業=たくさん仕事をしている、頑張っている」という職場風土である場合、従業員における長時間労働はなかなか減らない原因となります。
上司の考え方により、職場が過重労働につながっている可能性があるため、残業自体を抑える前に、まずはマネジメント層の意識改革をすることが大切です。
業務過多
そもそも従業員数に対しての業務量が見合っていなければ、慢性的に長時間労働が発生する原因となります。
業務過多は従業員の負担を増やすうえ、過重労働が原因で離職した従業員の業務はほかの従業員の負担となるため、悪い連鎖を生み出してしまうのです。
普段行っている業務の中には無駄な業務も潜んでおり、残業へとつながっている場合があるため、業務フローを再確認し、無駄な工数を削減することが大切です。
企業が取り組むべき過重労働対策
企業が取り組むべき過重労働対策として、以下の内容が挙げられます。
- 勤怠管理システムを導入し労働時間を把握する
- 疲労蓄積度チェックリストを作成する
- 社長や管理職から過重労働しないよう発信する
- アウトソーシングを利用する
社長という視点だけでなく従業員や人事など、あらゆる立場から物事を客観視する必要があります。ここでは企業が取り組むべき過重労働対策について解説します。
勤怠管理システムを導入し労働時間を把握する
システムの導入により労働時間を可視化することで、社員がどの程度の残業をしているのか、日々における労働時間を徹底的に管理可能です。残業時間が多い社員に対しては、適切なタイミングでアラートし、残業を防げます。
また、勤怠管理システムを導入することで人件費などのコスト削減や、労務管理担当者の業務効率アップなどのメリットが得られます。ただし、会社に勤怠管理システムの特徴があっていない場合、勤怠管理システム導入のコストについて経営層の理解が浅い場合は取り組み方に注意が必要です。
疲労蓄積度チェックリストを作成する
疲労蓄積度チェックリストでは、特に時間外労働時間が月80時間を超えた労働者に対して、疲労蓄積度を把握することが大切です。
疲労蓄積度チェックリストを作成することで、健康障害のリスクが高い従業員を早期に発見できます。
従業員が自身の体調を把握することで事故対処にもつながります。また、部署ごとの過重労働者数を把握することで、適正な人材配置が可能です。
社長や管理職から過重労働しないよう発信する
社長や管理職から過重労働しないよう従業員へ呼びかけることで、「残業=たくさん仕事をしている、頑張っている」という企業風土を変えられます。
残業削減を目的とする際は、会社のためではなく、従業員のためを思うことが大切です。メールや提示版などで残業削減を呼びかけることで、効果が現れる可能性が大いにあるため、社長や管理職からの発信に沿って、人事が現場に広報することも重要です。
アウトソーシングを利用する
アウトソーシングとは、業務の一部を外部の協力先に発注することを意味します。
業務の一部を依頼することで、従業員の業務を削減することができるため、長時間労働の抑制につながります。
また、従業員はよりコア業務に集中できるメリットが得られます。ただし、社内のノウハウが蓄積されない、情報漏洩のリスクが高まるなどのデメリットもあるため注意が必要です。
企業は過重労働対策に取り組むべき
過重労働とは労働時間が多いことで、従業員に疲労が蓄積している状態を意味します。
過重労働に該当する場合、従業員は大きな負担を抱えているため、企業は労働時間を削減して働きやすい環境を整備することが大切です。
長時間労働は従業員の離職につながってしまううえ、人材不足や生産性の低下への連鎖も考えられます。そのため、企業はシステムやアウトソーシングの導入により、従業員の作業時間を減らしてパフォーマンス向上に努めましょう。