ビジネスの生産性向上とは
企業を経営するにあたって「生産性を高めたい」と思っている方は多いかと思います。
しかし、生産性向上の意味や上げる方法についてわからない方も多くいるかと思います。
本記事では、生産性向上の方法や課題、成功事例について紹介します。
生産性向上とは
生産性向上の「生産性」とは、企業が投入した経営資源に対する成果を、どれくらいの効率で生み出せたのかをを求めることをいいます。
収入資源に対し、生み出された成果が大きければ大きいほど生産性が高く、小さいほど低いといえるでしょう。
また、生産性向上とは生み出す成果の割合を増やすか投入する資源の量を減らしたりすることで、組織の生産性を高める取り組みのことをいいます。
詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。
ビジネスで生産性を上げる方法
ビジネスで生産性を上げる方法として、以下の4つが挙げられます。
- 業務効率化を推進する
- グループウェアを導入する
- ナレッジマネジメントを導入する
- 人材の配置を最適化する
それぞれ詳しく説明します。
業務効率化を推進する
ビジネスで生産性を上げるには、業務効率化を推進しましょう。
業務効率化を推進することで、以下のメリットを得られます。
・時間的工の削減が可能
作業時間を短縮することで残業時間の削減にもつながり、人件費を削減できます。
・社員のモチベーションがアップする
作業時間が短くなり働きやすい環境が構築できれば、社員のモチベーションを高く保てるでしょう。
・新事業への投資が可能
業務効率化で利益と時間にリソースを割けば、新規事業の発展など新たな投資が可能となります。
グループウェアを導入する
グループウェアを導入することで企業価値の向上や業務効率化を実現できるといったメリットがあります。
ここでもメリットを紹介します。
・情報共有がスムーズになる
グループウェアの掲示板機能やメールを活用すれば、会社全体に向けて周知事項を送ったり資料を共有できます。
また、アラート機能を搭載しているものもあるため、従業員の見落としも防げるでしょう。
・ペーパーレス化で効率化
これまで資料を紙で配布していた場合、グループウェアを導入することで、他の従業員へ確実かつスピーディーに共有できます。
また、ペーパーレス化によって、印刷の手間やコストの削減にもつながります。
・web会議機能の活用で業務効率化
グループウェアにはweb会議機能があるため、離れた場所にいる従業員と会議ができます。
会議へ行く時間と経費が削減でき、従業員は自分のデスクからの参加が可能なので、両者にとってメリットをもたらすツールといえるでしょう。
ナレッジマネジメントを導入する
ビジネスで生産性を上げる方法として、ナレッジマネジメントの導入をおすすめします。
ナレッジマネジメントについては、こちらの記事をご参照ください。
※「ナレッジマネジメントとは」
ナレッジマネジメントを取り込むことで、人材育成の場面で大きな効果を発揮します。
業務マニュアルはほとんどの会社にありますが、ナレッジマネジメントにより従来のマニュアルでは得られない知識やノウハウを与えてくれます。
そのため、ナレッジマネジメントにより構築されたマニュアルを活用すれば、研修や教育を効率的に進められ、生産性は上がりやすいです。
人材の配置を最適化する
必要な人材を適切な部署に配置することで、生産性は上がりやすくなるでしょう。
人材の配置を最適化するメリットを紹介します。
・早期退職の防止
適切な人材配置は早期退職の防止につながりますが、採用した人材の適正に合っていない配置を行ってしまうと、従業員の不満が溜まり早期退職のリスクが上がってしまいます。
従業員が仕事をこなせるまでには多くの時間と費用がかかります。
しかしその従業員が辞めてしまうと、それまでに会社が費やした人材育成の費用を回収できないため、会社にとって大きな損失となるでしょう。
また、早期退職が発生すると欠員の状態で仕事を回さないといけません。
これにより従業員それぞれに負荷がかかり、また新たな退職者を発生させる原因ともなります。
こういった連鎖が続けば「この企業はなんでこんなに人が辞めているのかな」「労働環境が悪いから退職者が多いのかな?」とマイナスイメージを持たれてしまう可能性があります。
適切な人材配置を行うことで、会社にとって大きな損失を未然に防ぎます。
・作業効率がアップする
適切な人材配置で、従業員の作業効率がアップする効果も期待できます。
従業員一人ひとりの作業効率が上がれば、少ない人数で業務を回せるようになります。
一方で生産性が低い原因は、人材配置によるものの場合が多くみられます。
適切な人材配置を行ていない場合ですと、例えば従業員が不得意な業務を任されたり、モチベーションが下がり作業効率が低下する、ストレスが溜まり退職を考えるといった事態が発生しかねません。
人によりますが自分に合っていない業務は強いストレスがかかりますし、入社したばかりだと相談もしにくいでしょう。
モチベーションが下がったままでは作業効率もどんどん下がってしまいます。
生産性向上されるには、そのときの状況や環境に応じて柔軟に人材配置を構築していく必要があります。
・組織の活性化
定期的な人材配置は、組織の活性化につながります。
従業員が変わらず同じ環境で仕事をすることは、従業員同士の仲が深まるメリットがあります。
しかし、意見が言い出しにくくなったり、新しいアイデアが浮かばなかったりといったマンネリ化が発生しやすくなります。
毎年人事異動や採用活動を行うことで、従業員の仕事に対する気持ちに変化が表れるでしょう。
・人件費削減になる
人件費の予算は従業員の業務レベルや事業遂行に要する人数などに基づいて算出されます。
適切な人材配置を行えば、最低限の人数で乗務を回せるため、必要以上の従業員を雇う必要がありません。
しかし、経営層が適切に人材配置を行えず「人が足りない」という理由で補充してしまうと、本来は不必要な経費が発生します。
そこで、従業員の得意とするものやスキルを考慮したうえで人材を配置すれば、適正な判断ができます。
・ストレスを軽減できる
実際に会社で働いている従業員からすると、「適切な人材配置が行われていると感じられない」と思っている人は多くいます。
従業員は人材配置に対してさまざまな意見や改善点があると考えています。
それが積み重なった結果として、退職してしまう従業員が発生するリスクも潜んでいます。
既存従業員のためにも適切な人材配置は、必要不可欠といえるでしょう。
ビジネスにおける生産性上の課題
労働集約型のビジネスモデル
労働集約型のビジネスモデルの課題として、BtoC向けのサービスや単純労働が挙げられます。
例えば、個人サロンでは1人が顧客に対して施術しますが、個人消費であるため単価は高くありません。
そのため、支払える報酬も少なく、採用が難しいという結論に至ります。
労働集約型のビジネスを行う場合は、労働生産性を高めることに重点をおきましょう。
機材やシステムを導入すれば、1人あたりの生産性が増加し、依存度を軽減させます。
さらに、特定のサービスのみを提供するのではなく、総合的なサービスの展開など顧客数の増加や単価アップの対策をすれば、稼働率は上がり、生産性も上がりやすくなるでしょう。
長時間労働の慢性化
他の国と比較しても、日本は長時間労働の割合が多い傾向にあります。
厚生労働省のデータによると、週労働時間が49時間以上の日本人労働者は18.3%(男性26.3%、女性8.3%)となっています。
この数字はアメリカやイギリス、フランスなど先進国の中ではもっとも多いです。
具体的には小中高教員やトラックドライバー、タクシードライバーなどの職種が、月45時間以上の残業をする割合が多いです。
長時間労働が慢性化しないためにも引き続き、労働時間削減のための工夫が必要といえるでしょう。
参考:「過労死等防止対策白書」
柔軟な働き方への対応
生産性向上を目指すためには、働く場所や時間を柔軟にし、働きやすい環境を整える必要があります。
例えば、女性の労働力確保やライフワークバランスが推進されるなかで、通勤に縛られる負担を減らし、働きやすい時間で集中的に仕事をしてもらう環境を整えましょう。
具体的には、リモートワーク対応にして在宅勤務を可能にしたり、フレックスタイムを導入して柔軟性のある勤怠管理を行うと良いです。
他の事業の取り組みを参考にして、自社に合った体制の確立を目指しましょう。
人材不足への対応
日本における人材不足の状況は年々深刻化しており、さまざまな業界・職種で対策を考える必要がでてきました。
国を挙げて少子高齢化対策や働き方改革に力を入れていくことが必要とされています。
内閣府によると、2020年の生産年齢人口は7,406万人ですが、2065年には約4割近く減少し、4,529万人となる見通しです。
この予想を見てわかることは、人材不足問題にいち早く対応していく必要があるということです。
人材不足については、こちらの記事を参考にしてみてください。
「人材不足の原因と対策|日本における人手不足が深刻な業界とは?」
ビジネスにおける生産性向上の成功事例
実際のビジネスにおける生産性向上の成功事例は参考になるかと思いますので、3つの事例を紹介します。
システム導入による業務効率の向上
山形県で葬儀業を経営している企業では、ホームページに見積もりシステムを掲載したことで、見積もり作 成業務の効率化と、成約率の向上につながりました。
導入前は顧客先を訪問したり顧客に来店してもらったりして、要望を1つ1つ確認しながらすべての見積もりを人手で作成するのは、時間がかかる状況でした。 そこで、助成金を活用してホームページ用見積もりシステムを導入しました。
その結果、見積もり作成にかかる時間の短縮及び成約率の向上によって生産性が向上 し、1人の従業員の時間給を60円引き上げることができました。
クラウド化とシステムの導入による管理業務の効率化
宮崎県にある行政書士・社会保険労務士業を経営している企業では、顧客のデータ管理をクラウド化し、給与計算システムを導入した ことで、管理業務の効率化につながりました。
導入前は顧客データをCDROMやUSBメモリで管理していたため、管理が煩雑で安全面に不安がありました。また、顧客の賃金計算も従業員が手入力で行っていたため、作業に時間がかかり、ミスも発生していました。
そこで、助成金を活用して顧 客データの管理をクラウド化し、給与計算システムを導入したところ、顧客のデータ管理・給与計算作業が30%短縮し、業務の効率化を図ることができました。
参考:「平成28年度 業務改善助成金の業種別活用事例」
システム導入によるナレッジマネジメントの実施
主に、企業向けのマーケティング支援事業を展開している株式会社シタシオンジャパンでは、システム導入によるナレッジマネジメントの実施で作業効率化を図りました。
チーム内では、主に以下の内容をストックしています。
①プロジェクトの概要
⇒プロジェクトの目的、ゴール、スケジュール等、各プロジェクトの概要を記載しています。プロジェクト進行後も、すぐに当初目的を確認することができるようになりました。
②プロジェクトの進行管理
⇒クライアントミーティング・社内ミーティングの記録や、プロジェクト進行する上でクライアントから頂いた要望を都度管理しています。
③社内の朝礼の記録
⇒社内の朝礼で、現在の状況や今後の方針をこまめに共有していますが、その内容もStock(ストック)に記載して管理しています。
④取締役会やマネジャー会議の記録
⇒取締役会やマネジャー会議の開催前にはすべてStock(ストック)にアジェンダを記載し、決定した方針もすべてStock(ストック)にまとめて記載しています。また、弊社ではミーティングがある時は、いつもStock(ストック)をプロジェクトに映して、全員で議論内容をリアルタイムに共有しながら会議しています。
ナレッジマネジメントツールを導入することで、大量のプロジェクトを簡単に情報管理できるようになったようです。
仕組み化でビジネスの生産性を上げる
「生産性向上」について難しいと感じることがあるかもしれませんが、仕組み化を理解して向上に取り組むことができれば、必ず効果を発揮できるでしょう。
ぜひ参考にしていただきながら、ビジネスの生産性向上に取り組んでみてくださいね。