組織構築とは?体制作りの手順や必要なフレームワークを解説
「会社の理念と実情に大きなギャップがある」、「部下や他部署の社員が思うように動いてくれずやきもきする」と感じた場合、組織の役割がうまく機能していない可能性があります。
適正な組織構築をすることで、スピード感を持った意思決定や、目標達成に向けた行動を明確にできるなどのメリットがあります。
本記事では、組織体制への課題を抱えている企業向け組織構築をする目的や、具体的な手順、必要とされるフレームワークを詳しく解説します。組織構築をする上で、注意したいポイントも紹介していますので、参考にしてください。
組織構築とは?
組織構築とは、会社全体やチーム全体の目標を達成するために、人事やチームの構造、システムなどの作成・見直しを図ることです。
この目標となるのは、企業理念などの組織が重要視している価値観やビジョンのことを指します。社員に理念が浸透していなかったり、適切な人員配置が行われていなかったりすると、事業を安定させることが難しくなるといわれています。
そのため、組織を構築することは、事業を安定させ企業を成長させるために重要な取り組みの一つです。
組織構築で得られる効果
組織構築で得られる効果として、以下の3つが挙げられます。
- スピーディーな意思決定が可能になる
- 技術やノウハウが蓄積される
- 目標達成のための行動が明確になる
スピーディーな意思決定が可能になる
組織構築がなされていないと、個人がバラバラに活動を行うようになり、意思決定に遅れが生じます。
意思決定には「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」の二通りのスタイルが存在します。上層部の判断で下層部に意思決定が下される「トップダウン」では、上下の信頼関係が重要になる一方で、下層部から上層部へ提案の承認を求める「ボトムアップ」では、現場スタッフが積極的にチャレンジしやすい環境づくりが必要になります。
組織構築で良好な人間関係や働きやすい環境づくりをすることにより、このような意思決定に迅速且つ円滑に対応していくことが可能になります。
目標達成のための行動が明確になる
組織構築は、チーム全体の目標を達成するために必要な取り組みです。チーム全体の目標を達成するためには、組織という枠組みの中で、個人の役割を明確にする必要があります。
もし、個人の役割が定まっていないと、目的を見失ってしまったり、自分には関係のない業務にまで手を出してしまったりと、効率が悪くなり、チームワークも乱れてしまいます。
組織構成を行い、社員自身が自らの役割を認識することで、チームの目標達成につながるアクションができるようになります。
技術やノウハウが蓄積される
組織での活動が機能していると、あらゆる業務の技術やノウハウがチーム内に蓄積されていきます。
これらは組織にとって貴重な財産となり、人事異動の際には引継ぎが楽になり、新人教育のマニュアル作りにも役立ちます。
組織構築をする際の3つの重要なポイント
それでは、組織構築を行う下準備として、以下に挙げる3つのポイントを重視しながら進めてください。
- 役割を明確にする
- マーケティング戦略を明確にする
- 組織全体の意識改革
闇雲に組織構築をしても、思ったような組織が構築されず、チームの目標だけではなく個人の目標も達成できないという状況になってしまう可能性があります。個人の役割や会社の方向性を明確にした後、自社に合った方法で組織構築を行う必要があります。
役割を明確にする
複数の人間が集まる組織の体制をより強固に、よりよい方向に導くためには、強いリーダーを据える必要があります。
チームミッション達成のための課題を解決できる能力や、チームメンバーをまとめ上げる統率力、コミュニケーション能力など、リーダーシップに優れたスキルを持つ人材を選出し、リーダーの役割を与えることにより、しっかりと組織が機能するようになります。
マーケティング戦略を明確にする
組織構築の根幹となる大切なファクターのひとつとして、マーケティング戦略を明確にする必要があります。
マーケティング戦略がしっかりと練られているか否かで、企業が成長を続けていけるかどうかが決まるため、短期・中期・長期とそれぞれのスパンで具体的な戦略を立てることがとても重要になります。
組織全体の意識改革
企業の活動を長く継続していくためには、時代の流れに合わせて企業文化にも変革が必要になります。
古くからの企業文化にこだわり、変化を拒んでいては、現代の競争社会の中で生き残ることが難しくなる可能性があります。
業歴が長くなるほど、積み重ねた風土や特色が濃く、容易に変革できるものではありませんが、現状の文化を客観的に見直す機会を定期的に設け、少しずつでも意識改革をしていくことが、組織構築を行う上での大切なポイントになります。
組織構築に必要な7つの要素
より強固な組織を作るために、求められる7つの要素が以下の通りです。
上記7つの要素の内、1つでも欠けてしまうと組織構築が適正に行われません。組織構築を行う際は、戦略面だけではなく、人材や価値観など、多面的に組織を見ていく必要があります。
戦略
経営戦略のことですが、市場競争での勝ち方や、利益を生み出し続けるにはどうすればよいのかという、方向性を決定することです。
ここで定めた方向性が、他の「S」にも影響しますので、ハードのSの中でも特に重要な要素であると言えます。
組織
少しでも多くの利益やパフォーマンスを生み出す為に構成されたものが組織です。
組織構造は大きく分けて、以下の5つの組織構造があります。
組織構造 | 詳細 |
事業部制組織 | 製品やサービスの種類ごとに部門を分ける組織 |
機能別組織 | ・経営者を頂点とするピラミッド型の階層構造の組織・日本では多くの企業が取り入れている |
チーム型組織 | プロジェクト遂行のために一時的に作られる組織 |
カンパニー型組織 | 事業部制組織と独立採算制をかけ合わせている組織 |
マトリックス型組織 | 一人の社員が複数の事業部を兼務する組織 |
どの組織構造を採用するかは、経営戦略や遂行中のプロジェクトに応じてよく検討する必要があります。
システム
組織が円滑に機能するためには、人事評価・目標管理・情報管理といった仕組み作りが必要になります。
これらの業務は、ITの発展に併せてデジタルシフトしていくことで、業務の効率化やコスト削減にもつながります。
スキル
スキルとは、年月をかけてチーム内に蓄積された技術やノウハウを指しますが、各部署により異なる強みを相互で補い合える体制を整えることで、大きな組織力を生みます。
人材
「人材」は、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つの経営資源の一つであり、組織構築に不可欠な要素です。
近年ではワークライフバランスが重要視され、働き方も多様化しているため、スタッフ個人の価値観に共感し、尊重しながら、組織改革を行う必要があります。
価値観
「価値観」は、企業理念やチームの存在意義です。組織経営の根幹となる要素であり、ここを変えることは容易ではありません。
ですが、経営戦略や意思決定に多大な影響を与えるからこそ、外部環境や資産に応じて、少しずつ変化させていく必要があります。
スタイル
スタイルとは、企業の風土や仕事のスタイルを指しています。
チームのスタイルや職場環境は、スタッフのモチベーションやミッション達成に強い影響を与え、チーム全体のパフォーマンス向上にもつながります。
組織構築を行う際の注意点
組織構築を行う際の注意点は以下の通りです。
- 外部環境の把握
- 経営戦略に則った判断をする
「外部環境」と「経営戦略」に注意しながら組織構築を行うことで、理想的な体制が実現します。
外部環境の把握
競合他社の情報や市場動向などをしっかりと把握し、分析した結果、自社に不足しているものは何か、あるいは不必要なことをしていないかなど、細かい部分まで正確に洗い出すことが重要です。
経営戦略に則った判断をする
組織構築をしていく中で、ブレてはいけない核となるのが「経営戦略」です。外部環境と並行して考える必要がありますが、外部環境や保有資産など、日々変化する経営状況の中で、ミッション遂行のための経営戦略もアップデートしていかなくてはなりません。
更新された経営戦略をベースに、個々人の能力やチームのパフォーマンスを最大限に引き出せる組織構造とは何かを考えることが大切です。
組織構築を行い理想的な体制を整えよう
時代の移り変わりと共に、古い経営体制から脱却できないままでいると、企業の成長は止まってしまいます。組織構築を成功へ導くためには、チームメンバー全員が共感できる企業理念の提唱、目標達成のための適切な人員配置と、正しく評価できるシステムを考えることが大切です。
「実際のところ何から始めていいかわからないし面倒…」、「足りないものを補うための人材が揃わない」などの場合は、思い切って外部の組織構築サービスを利用することも一つの手です。
株式会社SALが提供する在宅チーム構築支援サービス「remodooo!」は、社内に在宅ワーカーのチームを構築する支援で、採用の方法から、業務フローの整理までを徹底的にサポートしています。
このようなサービスを活用することで、既存社員のパフォーマンスを下げることなく、安心して新しい組織構築が実現できます。
企業価値を高め、市場での競争優位性を確立するために、組織構造の抜本的な改革を行い、理想的な経営体制を整えましょう。