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新規事業特集

【株式会社アクティブアンドカンパニー】先進的サービス『奨学金バンク』の可能性!日本初の奨学金返還型人材紹介サービスが描く未来

SAL編集部
SAL編集部
【株式会社アクティブアンドカンパニー】先進的サービス『奨学金バンク』の可能性!日本初の奨学金返還型人材紹介サービスが描く未来

日本では多くの学生が奨学金を利用していますが、返済の負担が大きな社会問題となっています。こうした課題を解決するために、株式会社アクティブアンドカンパニーは新規事業である【奨学金バンク】を提供しています。このサービスは、奨学金利用者の返還支援を目的とした新しい取り組みです。今回は、代表の大野氏に【奨学金バンク】の詳細や今後の展望について伺いました。

御社の新規事業である【奨学金バンク】の概要について教えていただけますか?

当社はこれまで組織人事コンサルティングを提供し、人事制度設計や教育研修を中心としたサービスを展開してきました。さらに、HRテクノロジーや給与計算業務の支援にも取り組んでいます。こうした経験を活かし、新規事業として【奨学金バンク】を立ち上げ、昨年3月1日にリリースしました。

【奨学金バンク】は、以下の3つの柱を軸にサービス展開を行っています。

1.奨学金利用者に特化した職業紹介
  奨学金を返済している求職者を企業に紹介し、その紹介手数料の一部を
   奨学金返済に充てる仕組みを構築しました。
  ・文部科学省や日本学生支援機構からも認定を受けているサービスです。

2.企業の奨学金代理返済サポート
  ・奨学金を返済している社員の返済支援を、所属している企業と協業して
   アウトソーシングという形で行っています。
  ・奨学金の代理返済は、福利厚生の一環としても機能し、従業員の定着率
   向上にも役立ちます。

3.企業のサステナビリティ向上の支援
  奨学金支援は「質の高い教育の提供」「貧困の解消」といったSDGs
   (持続可能な開発目標)にも直結する取り組みです。
  ・この活動を通じて、企業価値の向上にも貢献します。

これまでに聞いたことがない新しい取り組みですね。【奨学金バンク】設立のきっかけは何でしょうか?

私は奨学金を利用せずに大学に進学しましたが、5年前に奨学金制度の実態に触れる機会がありました。当時45歳だった私は、35歳の方々と会話をする中で「まだ奨学金を返済している」という話を耳にし、驚きました。

詳しく調べると、奨学金の利用者は年々増加し、多くの人が返済に苦しんでいることがわかりました。現在、各世代の約55%が奨学金を利用しており、大学進学率が約60%であることを考えると、およそ3人に1人が奨学金を借りている計算になります。

私自身の学生時代と比較すると、奨学金利用者は増えていて、過去10年間で奨学金の給付総額はおよそ2兆円も増加しました。その一方で、奨学金の返済ができずに自己破産する人や信用情報に登録されてしまう人もおり、社会問題にもなっています。
この課題を解決するため、文部科学省に対して新たな解決策の提案を行い、新規事業として【奨学金バンク】の立ち上げに至りました。

すでに導入している企業はどれくらいあるのでしょうか?

現在、百数十社以上の企業が導入しています。もともと当社の既存サービスを利用していた企業もありますが、【奨学金バンク】を通じて新規にお付き合いが始まった企業も多くあります。

【奨学金バンク】を活用する企業にとってのメリットは何でしょうか?

企業のメリットは、採用力の強化とブランディングです。また、奨学金の代理返済を通じて社員の定着率向上にも繋がります。

同様の取り組みをされている企業はあるのでしょうか?

民間企業としては弊社のみです。地方自治体がIターン・Uターン促進のために奨学金返還支援を行う例はありますが、民間企業が同様のサービスを提供する事例は聞いたことがありません。

今後この事業をどう展開していく予定ですか?

1つ目は、職業紹介市場における【奨学金バンク】の存在意義を高めていきたいと考えています。

2つ目は、新卒生にも支援の機会を広げていくことです。実は、多くの大学で4年生を対象に奨学金の返済に関する説明会が開催されています。しかし、そこで初めて具体的な返済額を知り、ショックを受ける学生も少なくありません。

この状況を踏まえると、もっと早い段階からキャリアプランやファイナンスプランを検討するような奨学金返済の説明会を設けることが重要です。そこで、当社が各大学で情報提供を行い、学生が将来の資金計画について自発的に考えられるように支援をしていきたいと考えます。
現在、日本には約780の大学がありますが、まずはそのうちの20%、約150校との提携を2〜3年以内の目標にしています。東京の約250校、関西の約120校を中心に、最終的には全国の大学と連携してより多くの学生の支援体制を築いていきたいです。

このような先進的なサービスは、2〜3年後に競合企業も参入しそうですが、御社の強みを教えていただけますか?

そうですね。競合企業が増えることは、奨学金問題の解決にとってプラスだと考えています。この取り組みが広がり、一社でも多く参入することで、より多くの人が支援を受けられるようになれば嬉しいです。
当社の強みですが、金融の仕組みがすでに確立されているところです。三井住友信託銀行と提携し、集めた資金を信託銀行にプールすることで、より効率的に返済を実現しています。競合他社がすぐに真似できるような仕組みではないため、大きな差別化要因になっています。

このサービスの立ち上げは、社長ご自身が中心となって進められたのでしょうか?

はい。少しずつメンバーを増やし、現在も新たな採用を進めています。今後は、社会課題の解決に本気で取り組む仲間とともに挑戦を続けていきたいと考えています。また、従来のやり方が通用しないため、新しい発想を柔軟に取り入れることも重要です。前例にとらわれず、新しいアイデアを生み出せる人、挑戦を楽しめる人と仕事をしたいと思っています。

奨学金問題の解決が、社会全体の課題である少子化や晩婚化にも良い影響を与えると感じます。長期的な目標についても教えていただけますか?

私たちは、単に職業紹介を行うのではなく、奨学金を返済するインフラを作りたいと考えています。奨学金の返済を支援して債務を軽減できれば、貸与側にも資金が回り、持続可能な循環モデルが生まれます。資金が適切に循環する仕組みを作れば、持続可能な支援が可能になります。最終的に実現したいことは、この循環モデルを確立し、限られた資金で奨学金問題を解決することです。

最後に【奨学金バンク】の活用を考えておられる企業様、奨学金を借りている学生の皆さんに向けてメッセージをお願いいたします。

まずは、企業のご担当者様へ
多くの企業が人材確保や定着に苦慮している中で、今後さまざまな採用手法が生まれると思います。その際、ぜひ社会貢献や社会課題の解決に直結する選択肢を選んでいただきたいと考えています。せっかく人材を採用するのなら、企業の成長だけでなく社会課題の解決にも繋がる取り組みを取り入れてみませんか?
是非ともご賛同いただき、一緒により良い未来を創っていければ幸いです。

そして、学生の方々へ
長年、奨学金の返済に苦しんでいる方が多くいらっしゃいます。特に大学生の皆さんが進路を考える際、奨学金を理由に将来の選択肢を狭めてしまうことはあってはならないと思います。そうしたことが起こらないように、まずは当社に一度ご相談ください。私たちが支援できることがあるかもしれません。

インタビュー企業
株式会社アクティブ アンド カンパニー:https://www.aand.co.jp/

この記事を書いた人

SAL編集部
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株式会社SAL

ピボットCEO(しよー)のSAL編集部は、不確実性が高まる時代において、変革を目指す経営者を応援するメディアです。自社経験に基づくノウハウで、中小企業が変化しやすい組織づくりを支援する「remodooo!」を提供するSALが編集する、主に会社経営者向けのコラムサイトで、お役立ち記事を配信しています。