注目キーワード: #人手不足 #役割分担 #キャパオーバー #組織の作り方 #新規事業
新規事業特集

【株式会社uluコンサルタンツ】日本の「良いもの」を未来へつなぐ『わたしの名品帖』の挑戦

SAL編集部
SAL編集部
【株式会社uluコンサルタンツ】日本の「良いもの」を未来へつなぐ『わたしの名品帖』の挑戦

株式会社uluコンサルタンツが運営する【わたしの名品帖】は、日本の伝統的な工芸品や優れたものづくりの価値を世界に広め、未来に繋げていくためのメディア・ECサイトです。同社の代表取締役の坪田氏と酒井氏に、この事業の背景や目的、未来への展望についてお話を伺いました。

【わたしの名品帖】とは、具体的にどのような事業ですか?

簡単に言うと、日本の伝統工芸品を中心に、「日本で作られた良いもの」を長く、良い形で未来につなげていくことを目指しています。
ただ、これを実現するためには、課題も多いのが現状です。特に事業者の方々は小規模な場合が多く、後継者育成や経営基盤の強化が重要ですが、そのためにはまず売上を増やす必要があります。そこで、我々はまず入口として売上を上げるための方法を考えました。そのひとつがECサイトの運営です。そしてもうひとつが、「そもそも商品の魅力が知られていない」という課題を解消するためのメディアサイト運営です。この2つの柱を軸に【わたしの名品帖】をスタートしました。

これらはあくまで入口に過ぎません。最終的には、良いものをもっと広め、より良い形で次世代に引き継いでいける仕組みを作りたいと考えています。

経営コンサルティングが本業の中で、なぜこの事業に着手されたのですか?

弊社は経営コンサルティング会社として、業種や業態を問わず中小企業の経営改善をサポートしてきました。この本業は引き続き力を入れていく一方で、社内では以前から「コンサルとは異なるリアルビジネスの新たな柱を立てたい」という話がありました。
さまざまな案が出たのですが、酒井が「日本の伝統工芸を支えたい」と提案してくれたんです。「日本の伝統産業や良いものをもっと多くの人に知ってもらいたい」という想いを受け、業界全体を支えるような形で貢献できればと考えました。
本業である経営コンサルティングの知見が、この新規事業に活かせる点も大きな決め手となりました。伝統産業だけに限りませんが、企業を盛り上げるためには、資金調達や組織作り、人材育成、労務管理、財務管理といった経営課題が必ず出てきます。こうした課題に対して、私たちはコンサルティングを通じてサポートできる強みを持っています。リアルビジネスとコンサルティングの両面から価値を提供できる点に面白さを感じ、この新たな挑戦を決断しました

【わたしの名品帖】は、どのような層がターゲットなのでしょうか?

狙っていきたいターゲット層は、30代半ばから後半の主に女性です。この世代は、子育てが一段落して生活全体を見直すタイミングにあることが多く、家族のための道具や日用品をより意識的に選ぶ傾向があります。そういった背景から、この層に響くような提案をしていきたいと考えています。
【わたしの名品帖】では、「伝統工芸品」という言葉をあえて使用していません。理由は、その言葉が主に50代以上の方をターゲットとしたイメージを持たれやすいからです。他の分野でも同様ですが、多くの商品が顧客とともに年齢を重ねており、業界全体が高齢化している現状があります。このままでは伝統工芸品が斜陽産業になってしまう可能性が高いと感じています。
私は現在40歳ですが、自分の世代や周囲の人々を見ても「良い物は良い」と素直に感じます。ただ、これまで伝統工芸品が紹介される場として、職人展のような形が多く、気軽に手に取りづらい印象を与えてしまう側面がありました。

確かに、購入するハードルが高いイメージがありますね

そうなんです。偶然目にして「良いな」と思うことがあったとしても、積極的に手に取る機会は限られてしまいます。しかし、実際には価格が手頃で普段使いできるものも多く、少し高価でもその価値を十分に感じられる商品がたくさんあります。だからこそ、私たちは従来のイメージを変え、1世代、2世代若い層にもアプローチしていくことを目指しています。商品自体の良さは間違いなくありますので、見せ方や伝え方に工夫を凝らしていきたいと思っています。

職人の方々との連携はどのように進めていますか?

職人展や展示会などに足を運び、直接お声がけする形をとっています。職人の皆さんも業界の課題や危機感を感じており、特に販売側の力が弱まっている現状に対する悩みを抱えています。そのため、私たちは継続性を重視する取り組みを行っている方々に声をかけています。こうした方々とは共通の目標を持つため、連携がスムーズに進むことが多いです。

【わたしの名品帖】をローンチされてから1年とのことですが、2年目をどのような形にしていきたいとお考えですか?

2年目のビジョンや目標は大きく2つあります。
1つ目は、事業としての収益基盤を強化することです。特に商品の販売におけるストア運営が主軸となるため、まずは集客をしっかりと固める必要があります。ストアへの集客を安定化させることで、事業全体の収益を支える土台を築いていきたいと考えています。
2つ目は、対外的な認知度を高める取り組みです。当社の事業内容は、その価値が外部から認められやすいものだと考えていますが、現時点ではその魅力を十分に伝えきれていません。そのため、外部に向けて「私たちはこういう価値を提供しています」というメッセージをより明確に発信し、広く認知される形を目指したいと考えています。これにより、自社が積極的に広告宣伝しなくても、自然に注目が集まるような形を目指していきたいと思っています。
2年目は、この2つの軸をしっかりと進めながら、事業の成長を加速させていければと考えています。

社長として、従業員のモチベーション向上のために心がけていることはありますか?

必ずしもモチベーションが上がるかどうかは分かりませんが、基本的な考え方としては「やりたいことを自由にやってほしい」と思っています。当社の理念には「成長しよう」という大きな軸があり、それは個人の成長速度や方向性に違いがあったとしても、斜め上に向かって前進していこうという考えです。縁があった仲間やお客様とともに成長していくことが大切だと考えています。
そのため、「毎日同じことを繰り返して給料をもらえればいい」という姿勢ではなく、それぞれが自分の「やりたいこと」に挑戦できる環境をつくりたいと心がけています。話し合いを通じて「じゃあやってみよう」「中心になって取り組んでみよう」という前向きな意識を育てるよう努めています。それが負担になってしまう人もいるかもしれませんが、そういった挑戦をモチベーションとして捉えてくれるとありがたいですね。

自由にやると言っても、ある程度のルールの中で進める必要があります。そして、「自由」というのは一見魅力的ですが、実は非常に難しいものだとも思っています。社員がその自由をうまく活用して、自分らしい働き方や目標を見つけられる環境を提供することを目指しています。

最後に、御社に興味をお持ちの方へメッセージをお願いします

新たなキャリアをお考えの方へ

まずは、当社の理念やビジョンに共感していただけることが何より大切です。時間やお金のためだけではなく、事業や工芸品、職人さんに興味を持って、その魅力を一緒に広めていきたいと思っていただける方と一緒に働きたいと考えています。良いものをより良く提供し、世の中のお役に立ちたいという想いを共有できる方にお越しいただけると嬉しいです。もちろん、これは経営者としての考え方なので、従業員としての視点はまた少し異なるかもしれませんが、できるだけ理念や目指す方向性が近い方と共に歩んでいきたいと思っています。

インタビュー企業
株式会社uluコンサルタンツ:https://www.ulu-consultants.co.jp/

この記事を書いた人

SAL編集部
SAL編集部 SAL henshubu

株式会社SAL

ピボットCEO(しよー)のSAL編集部は、不確実性が高まる時代において、変革を目指す経営者を応援するメディアです。自社経験に基づくノウハウで、中小企業が変化しやすい組織づくりを支援する「remodooo!」を提供するSALが編集する、主に会社経営者向けのコラムサイトで、お役立ち記事を配信しています。