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新規事業特集

【EXest株式会社】観光×地域交流の新提案!『HOME VISIT』で叶える日本のリアルな暮らし体験と人と人との「出会い」と「つながりづくり」への挑戦

SAL編集部
SAL編集部
【EXest株式会社】観光×地域交流の新提案!『HOME VISIT』で叶える日本のリアルな暮らし体験と人と人との「出会い」と「つながりづくり」への挑戦

EXest株式会社は、人と人との出会いを創出し、「あったらいいな」を形にするために、サービスの開発と進化を続けています。【WOW U】は、「あったらいいな」と思う異文化交流を実現させるプラットフォームです。「日本に来てよかった」と思える経験をしてほしいと、サービス開始当初から全国展開を果たし、常に内容を拡充し続けています。 また、今回のインタビューでは、その中でも現在実証実験的に提供を始めている【HOME VISIT(ホームビジット)】について、代表取締役CEO・中林氏に、事業への想いと今後の展望について話を伺いました。

設立当時から展開している「WOW U」は、どんなサービスですか?

【WOW U】は、外国人観光客とガイドをマッチングするサービスです。2017年1月から5月にかけて実証実験(POC)を行い、同年6月に全国のエリアでサービスを始めました。「日本で何をしようか」と目的や場所、イベントなどのキーワードを入力するだけで、日本の体験やツアーを提供するガイドを検索することができます。
2018年には富士通と連携し、Konomy(コノミー)というAIレコメンドサービスにも実装しました。年齢や旅行の要望、何回目の日本かなど、7つの質問に答えるだけで、AIが予測して自身の希望が反映されたプランが見つけられます。コロナを経て旅行者の嗜好が大きく変化したため、現在はサービスを停止していますが、近い将来バージョンアップした形で再開したいと考えています。

ガイド(WOW U-mediator)は、自分が考えたオリジナルのツアーを考案しており、人気の高い観光名所を巡る団体向けのツアーとは一線を画しています。「WOW U」は、観光客が本当にやりたいことやアクティビティが見つけられることを念頭においたサービスです。

「WOW U」で始まる新しいサービスとはどういったものですか?

【WOW U】は、これまで普通のガイドブックとは違った視点で「日本の楽しみ方」を提案してきました。そして今、新しい取り組みとして【HOME VISIT】を始めました。これは、海外からの観光客が日本の家庭を訪れ、家庭料理を楽しめるサービスです。ホストとして登録した家庭が食事を提供し、観光客やガイドと一緒に食卓を囲むことで、自然と会話が生まれ、異文化交流ができる仕組みになっています。

この【HOME VISIT】を始めたきっかけの一つは、観光資源が少ない地域でも、農業や漁業といった地元の魅力を活かして海外の人を呼び込めたら面白いんじゃないか、と思ったこと。せっかく日本に来るなら、その土地ならではの特別な体験をしてほしいし、「農家飯」や「漁師飯」みたいな、その地域ならではの食事を楽しんでもらえたらと思いました。

もともと【WOW U】は、海外の観光客が感じる「言葉の壁」や「心理的なハードル」をなくしたいという思いから始まったサービスです。シリコンバレーに滞在していた際に、日本旅行をしたいけど不安を感じている人が多いことを知ったのがきっかけでした。それに、仕事で地方に行ったとき、レンタカーが借りられなくて困っていたら、現地の友人が車を貸してくれたことがあり、「地域に知り合いや仲間がいるって、すごく大事なことだな」と実感したんです。

だからこそ、【HOME VISIT】も、ただ家庭料理を食べるだけじゃなくて、ホスト・ゲスト・ガイドが同じ食卓を囲みながらつながりを持てる、そんな場になってほしいと思っています。

外国語が話せないとホストにはなれませんか?

いいえ、大丈夫です。ホストと観光客をつなぐ役として、通訳をできる大学生が「コミュニケーションサポーター」として参加します。第三者がサポートに入ることで、海外からのゲストをより円滑にもてなすことが可能になります。さらに、ホストとゲストの直接のやり取りでは、万が一トラブルが発生した際に対応が難しくなる場合もありますが、第三者が介在することで双方が距離感を適切に保てます。安心して会話できる環境を提供できると同時に、リスクマネジメントの役割も果たしてくれます。また、現在はAIによる翻訳などのツールも活用し、より円滑なコミュニケーションを目指しています。ツールの導入に踏み切った理由としては、実際のユーザーが英語が母語ではなく、アラビア語だったことがあり、意思疎通が難しかった経験からです。母語が英語以外の言語の方にもしっかりとサービスを提供したいと思います。また、ツールの導入により、コミュニケーション自体のデータを取得できると考えています。どういった発言が場を盛り上げるのか、どういった内容がユーザーを不快にさせるのかなどもデータとして蓄積し、今後の展開に活用したいと考えています。

 実際にサービスを利用した観光客・ホスト・ガイドからの反応はいかがですか?

ゲストは、ホストと交流をすることで旅行がより豊かになっているようです。例えば、「山登りをするのにおすすめの山は?」「地元の美味しいものを食べたいが、どこに行けば良いか?」など具体的な相談ができるのも【HOME VISIT】ならではの利点といえるでしょう。

ホスト側からもポジティブな意見が多く寄せられています。中には「予約が入ったが、何を作ればよいかわからない」という声もありますが、大抵は「客人を迎えるにあたり、夫婦の会話が増えた」「子どもの教育に良い影響を与えている」といった肯定的な意見です。

大学生にとってもメリットがあるんですよ。まず、英語を学ぶ機会が増えます。また、外国人観光客から「神道と仏教の違いは?」「赤味噌と白味噌の違いは?」など日本文化の質問を受けることもありますので、自国の文化を学び直すきっかけにもなります。そういった人との交流の積み重ねが、母国への関心やグローバル化への第一歩になると考えています。

まさにホスト・ガイド・ゲストの三者がWin-Win-Winの関係と言えるでしょう。

 順風満帆に見える「WOW U」サービスですが、展開するにあたって大変なことはありましたか?

サービス開始から3年ほど経った頃にコロナ禍となり新型コロナウイルスの感染が拡大しました。その影響で観光客が激減し、売上も一気に落ち込みました。売上がほとんどない時期が3〜4カ月続いたことを今でも覚えています。そこで、改めて自分達が提供するサービスの価値やターゲットを再考しました。そこで、オンラインを活用した「ティザー・トリップ」というプロジェクトを立ち上げました。これは、ガイド目線で収集した観光地の情報を、提携している全国およそ40の放送局でオンライン発信する仕組みです。

当時は、VRやAR、仮想空間を利用した観光体験の提供が多く見られましたが、私たちが発信する「ティザー・トリップ」は、「会いに来なければ楽しめない」と、コロナ後の集客に繋げることを意識していました。いわば「リアルな旅行をより盛り上げるための準備期間」と言えば良いでしょうか。その甲斐あってか、3〜5カ月後にはある程度、売上の回復が見られました。

そういえば、生産者と消費者を繋ぐコミュニティも展開していますよね?それは、どんなサービスですか?

『推し農家』というコンセプトのもと、お気に入りの農家さんとつながりたい人たちと農家さんを結ぶサービス【Pocket Owners(ポケットオーナーズ)】を運営しています。ただ、当初目指していたtoC市場への拡大が思うように進んでいない状況です。そこで新たに【Pocket Owner’s Select(ポケットオーナーズセレクト)】という取り組みを始めました。

このサービスでは、月額1,100円を支払うことで、ユーザーは農家さんからの限定情報を受け取ったり、専用のECサイトへのアクセス権を得たりできます。農作物の販売に関しては、決済手数料の5%のみをいただき、それ以外の売上は全額農家さんに還元する仕組みです。これにより、農家さんは商品の販売チャネルを確保でき、ユーザーも質の高い農作物を安心して購入できるようになっています。

現在、約1,500人の農家さんと連携しています。今後は、「推し農家」という概念をさらに広め、農家さんと消費者とのマッチングを強化していきたいと考えています。

この先叶えたいビジョンや目標を教えてください。

現在、日本政府は2030年までに観光市場を15兆円規模に拡大する計画を掲げています。その目標を達成するには、物理的なインフラ整備だけでなく、ソフトコンテンツの充実も不可欠です。あと5年という限られた時間の中で、私たちはサービスをどう位置付けるべきか考えなければいけません。市場のトレンドや国の施策も踏まえ「WOW U」の可能性を最大限に引き出していく考えです。日本国内のみならず、世界規模のガイドデータベースとなることが目標です。2026年2月に福岡県で開催予定のガイドの世界大会が開催されます。世界最大のガイド組織であるWFTGA(世界観光ガイド連盟)とも繋がりが生まれており、我々の取り組みに興味を持ってもらっています。この機会を活かし、グローバル展開に向けた確かな足がかりを作りたいと考えています。

 最後に、こんな人と一緒に働きたいというメッセージがあればお願いします。

僕たちが目指しているのは、うちの会社がなかったら出会えなかった「人と人をつなぐこと」、そして「なくてもいいけど、あったらめちゃくちゃいいサービスを生み出すこと」です。僕たちが生み出していくサービスは、既存の課題を解決するだけではなく、今は想像もできないような価値を生み出していくものでありたいと考えています。そんな挑戦を一緒に楽しめる人と働きたいです。
大手企業ではできないスピード感で試行錯誤を繰り返し、失敗を恐れずチャレンジし続ける。そのプロセス自体を価値と捉え、0を1や10にしていくことにワクワクできる人。そんな仲間と一緒に、これまでになかった「つながり」や「新しい価値」を生み出していきたいと思っています。

 

インタビュー企業
EXest株式会社:https://www.exest.jp/

この記事を書いた人

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株式会社SAL

ピボットCEO(しよー)のSAL編集部は、不確実性が高まる時代において、変革を目指す経営者を応援するメディアです。自社経験に基づくノウハウで、中小企業が変化しやすい組織づくりを支援する「remodooo!」を提供するSALが編集する、主に会社経営者向けのコラムサイトで、お役立ち記事を配信しています。