【キョーラクシステムクリエート株式会社】レガシーを超え、未来へ。AIで進化する40年の実績

プログラミング言語「RPG」(※)を駆使し、40年以上開発を手掛けるキョーラクシステムクリエート株式会社が、AIを活用して「RPG」での開発の自動化に挑戦します。若手社員の育成と共に、技術の継承と進化を目指す同社の新たな挑戦について、代表取締役である高瀬氏にお話を伺いました。
※RPG(Report Program Generator)とは、主に業務システムで使用されるプログラミング言語です。1960年代に登場し、現在も会計や在庫管理といった商用アプリケーションシステムで活用され続けており、長い歴史を誇ります。
まず、キョーラクシステムクリエート株式会社について教えていただけますか?
キョーラクシステムクリエート株式会社は、昔ながらのシステム開発、特にIBMの中小型機で動くRPGという言語を使った業務システムの開発を主軸に事業を展開しています。そして、40年以上にわたりこの分野に特化している点が特徴です。
世の中はCOBOLやRPGといったレガシーなプログラムから離れようとしていますが、実際には、それらで組まれたシステムを現在進行系で利用している企業は多く、維持・メンテナンスのニーズも根強く残っています。弊社もそういったお客様の信頼をいただいて、方向転換せずにRPGでの開発を続けてきました。
なぜ、あえてRPGにこだわってこられたのですか?
RPGで開発できる技術者が少なくなりつつありますが、逆に言えば、こうした「古いけど必要な」技術を扱える企業を求めている企業も多いためです。全体的な需要は衰退していく中でも、お客様自体はあまり減ってはいません。他社が新しい技術に移行する中、うちはRPGを武器にして、顧客の業務システムのメンテナンスを行ってきました。これは、私自身が長年RPGで仕事をしてきたからでもありますね。
私はこの会社に転職してきたのですが、当初は「脱RPG」という気持ちもありました。時代に合わせないと生き残れないだろう、と。でも、お客様と話していくうちに、「レガシーなシステムを維持するにはRPGが必要」ということが分かり、気がつけばRPGに特化した事業を続けていくことが正解だと思うようになりました。
そして今回、新たな挑戦としてAIの活用を考えているとお伺いしましたが?
現在、IBMのAIエンジン「watsonx」を使って、RPGでの開発を自動化できないかの検証に動き出そうとしています。
今までRPGの技術は主にシニア世代が担ってきましたが、社員のうち20代が約半数を占める今、そのスキルを次世代にどう引き継ぐかという課題があります。AIの力を借りてRPGの開発を効率化し、若手社員がRPGに不慣れでも業務を進められるように環境を整えていきたいと考えています。
また、開発の自動化を進めようとしていた矢先に、東大の大学院生が起業したベンチャー企業からも「AIでRPGの開発を自動化できないか」と問い合わせがありました。この企業も開発の自動化を研究していて、弊社のようにレガシーな開発をしている会社に興味を持っていただけたんです。
そのため、IBMとも相談し、3社で協力してAIを活用した開発の自動化を進めていこうと考えています。
ここまでRPGにこだわってきたからこその新しい可能性ですね
そうですね。しつこく続けてきたからこそ、こういった新たなビジネスチャンスも生まれてきたのかなと。
AIを使った自動化ツールを開発できれば、RPGで動いているシステムを利用している企業にとっても有益ですし、我々にとっても大きな武器になります。
今の時代、AIをどう活用していくかが企業の評価にもつながります。もしこの取り組みが成功すれば、「キョーラクシステムクリエート株式会社は新しいことにも挑戦しているんだ」という印象を持ってもらえるかもしれません。そうなれば、次の事業展開にもつながっていくと考えています。
AI活用での成果が出れば、次世代の社員にも大きな影響がありそうですね
その通りです。現状はまだ私自身が現場に深く関わっていますが、若手メンバーが自分たちでIBMやお客様とビジネスを進められるようになれば、私は少し引退を考えてもいいのかなと思っています。もちろん、簡単にいくとは思っていませんが、若手がRPGやAIを使ってお客様のシステムをしっかり支えられる体制を築けたら、弊社のお客様も将来にわたって安心できるでしょうね。

高瀬様ご自身の考え方も、社員にとって大きな支えになっているのではないでしょうか?
そうであれば嬉しいですね。うちは20人規模の会社で、「社長の言うことは絶対」みたいなことはありません。自由にやってもらっていいし、皆が自分の好きなように進んでくれたらと思っています。
ただ、最終面接の時には「キョーラクシステムクリエート株式会社は変わった会社だよ」と伝えています。会社に対する不満を言うのは簡単ですが、入社を決めた以上は「自分が会社をどうしようと思うか、自分がどう頑張っていくか」を考えてほしいと思っています。私ができるのは採用するまでで、入社後は自分の努力次第ですからね。
失敗に対しても寛容な姿勢をお持ちなのですね
失敗を恐れずに何度でも挑戦してほしいと考えています。私も失敗を繰り返してきたからこそ分かるんですが、人は一度の失敗で全て学べるわけじゃないんですよ。何度も経験を積んで、やっと身につくものがある。それに、若いメンバーには色々な失敗を経験してほしいですね。もちろん、失敗した原因を考えるのは大事ですが、気にしすぎずに次に挑んでほしい。自分で考えて動く力をつけることが一番だと思います。
これからの御社にとっても、若手が失敗を恐れずに挑戦する環境は重要ですね
そうですね。弊社にとって、このAI自動化の新規事業は挑戦であり、また次世代に会社を引き継ぐための大きなステップだと考えています。
今回の取り組みを通じて、今後は若手社員が自分たちでシステムを開発し、お客様の要望に応えられるようになることを期待しています。20代の社員たちには自分とは違う発想でビジネスを伸ばしていってもらえたら嬉しいです。
