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新規事業特集

【株式会社エコリオ】揚げカスから生まれる未来のエネルギー。日本の環境と経済を救う『エコリオステーション』プロジェクト

SAL編集部
SAL編集部
【株式会社エコリオ】揚げカスから生まれる未来のエネルギー。日本の環境と経済を救う『エコリオステーション』プロジェクト

空調機器のメンテナンス企業としてスタートした株式会社エコリオは、お客様の要望を受けて揚げカス絞り機「エコリオ」を開発。それを機に、回収した揚げカスを有価物として再生させる資源回収循環システム【エコリオステーション】を展開しています。特許技術を駆使し、環境保護と経済的なメリットを両立するこの取り組みは、大きな注目を集めています。そんな株式会社エコリオの代表取締役である浦野氏にお話しを伺いました。

現在進めている新規事業【エコリオステーション】について教えてください。

これまで当社は、主に揚げカスを圧縮・分離する揚げカス絞り機「エコリオ」の開発、販売、メンテナンスを行ってきました。今回新たに、エコリオで一次処理した揚げカスを回収し、有価物として再生する【エコリオステーション】という資源回収循環システムプロジェクトを開始しました。 熊谷にある二次精製処理工場で、回収したカスを油と固形物に分けて精製します。固形物は鶏や豚の飼料として利用されたり、バイオコークス(石炭代替燃料)(※1)にしたりすることが可能です。液体の油はバイオマス燃料(※2)として再利用され、最近では航空機の燃料としても注目されています。

(※1)バイオコークスとは、植物や廃棄物などのバイオマスを原料に作られる固形燃料。石炭の代替として、環境負荷を低減しながらエネルギーを供給できる点が特長です。
(※2)バイオマス燃料とは、植物や動物の有機物を原料として生産される燃料

環境保護の観点からも、大きなメリットがあるのですね。

そうですね。揚げカスを酸化させずに処理することで、これまで産業廃棄物として廃棄されていたものを、エネルギー源に変えることができます。この取り組みは、国内外でも初の試みです。

御社のエコリオだからこそ実現できる取り組みなのですね。

はい、そうです。当社は特許を取得しており、連続圧縮式の技術を採用しています。他社が採用している遠心分離式は、洗濯機の脱水のように油を振り回して分離するのですが、この方法だと空気が揚げカス内部に入り、酸化が進行しやすいため、酸化熱が蓄積して火災のリスクが高まります。

一方、当社の連続圧縮式では、油をしっかりと絞り出し、揚げカスを1/4〜1/5まで圧縮します。これにより、空気との接触面積を減らして酸化を抑え、発火や酸化によるリスクを大幅に軽減しています。

▼エコリオの仕組み~揚げカスが圧縮されるまで~

御社はもともと空調機器のメンテナンスを行っていたそうですが、どのようなきっかけでエコリオを開発されたのですか?

当社はもともと、外食チェーン店やスーパーマーケット、食品工場を対象にエアコンなどの空調機器の修繕・メンテナンス・施工を行っていました。空調関連の開発も手がけていたことから、ある天ぷらチェーン店のお客様から「揚げカスの問題」についてご相談を受けたことが、きっかけです。具体的には、揚げカスが多く、火災の原因になるうえ、水をかけると吸ってゴミが増えてしまい、さらに放置するとビニール袋が破れて、厨房で滑って怪我のリスクがあるとのことでした。「揚げカスを絞る機械があれば良いが、見つからないので作ってほしい」という要望を受け、当社で開発に乗り出しました。 その依頼を受け、約半年でエコリオを開発しました。この機械が、今の事業の基盤となっています。

たった半年で開発できたのは驚きです。

通常、このような機械の開発には1〜2年かかるため、幸運が重なったのだと思います。当社には設計図作成や機械メンテナンスの知見があり、CADで作成した原型図面もありました。開発協力をお願いするために約100通のメールを送ったところ、静岡の大手電機会社「沖電機」さんが快く協力してくださいました。そのおかげで、半年という驚異的なスピードでプロジェクトを進めることができました。

【エコリオステーション】の取り組みは現在どのような進捗状況でしょうか。

岸田政権下で、飛行機燃料の10%を脱炭素・非化石燃料にするという目標が発表されました。そのためには、廃食油、つまり燃料となる廃油が170万トン必要です。しかし、国内で年間に集められるのは約40万トンしかありません。どこで油を集めるかが非常に難しい課題となっていました。

そんな中、揚げカスに含まれる廃油が国内に約100万トンあることが分かり、そこから新たな燃料を作り出す【エコリオステーション】のプロジェクトが『脱炭素化を達成するには、もうエコリオしか道がない』としてフジテレビで放送されるほど、注目を集めています。

現在、エコリオを大きな工場や、中小の飲食店・お惣菜屋さんなどであれば無償でも提供し、全国規模で廃棄物を集める体制を整えています。また、二次精製処理工場を国内に200箇所設置する計画が進んでおり、すでに1箇所が稼働中です。石油元売り・流通・金融・行政・プラント建設・機械製造など、多くの大手企業様からご協力いただいている状況です。

10年後のビジョンについて教えてください。

10年後には、当社が開発した機械を中心に、エネルギーの循環がさらに進化していると考えています。今後は、IoTや通信機能を組み込み、各地でどれだけ廃油を再利用し、CO2削減に貢献しているかを「見える化」する予定です。さらに、新たな機械の開発やエネルギーマネジメントシステム(EMS)などを取り入れ、単なる油のリサイクルに留まらず、通信インフラも含めた全体的なエネルギー管理を可能にしていきたいと考えています。

そして最終的には、電気やガスのように、【エコリオステーション】を社会のインフラの一部として、社会全体に貢献できるものにしていきたいです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

廃棄物を新たなエネルギー源に変える取り組みは、環境保護だけでなく、企業の持続可能な成長にも寄与します。これからも、循環型社会の実現に向けて努力してまいりますので、ぜひご注目ください。

【エコリオステーション】の取り組みにご興味のある企業様は、ぜひ一度お問い合わせください。
▼お問い合わせはこちらから
https://ecolio.co.jp/contact/

この記事を書いた人

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株式会社SAL

ピボットCEO(しよー)のSAL編集部は、不確実性が高まる時代において、変革を目指す経営者を応援するメディアです。自社経験に基づくノウハウで、中小企業が変化しやすい組織づくりを支援する「remodooo!」を提供するSALが編集する、主に会社経営者向けのコラムサイトで、お役立ち記事を配信しています。