人材育成を成功させるためのポイント|新入社員・中堅社員で異なる考え方を解説
人材育成が失敗に終わってしまう企業は少なくありません。新入社員や若手社員、管理職が主な対象となりますが、一人一人に合わせて人材育成を行う必要があります。今回の記事では、人材育成を成功させるためのポイントを詳しく解説します。
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人材育成で大切なポイントは5つ
下記では、人材育成で大切なポイントを5つ解説します。人材育成を行う前にポイントを押さえておくと、成功する可能性が高くなります。
目標となる人物像・必要なスキルを共有する
目標となる人物像や必要なスキルをしっかり従業員に共有する必要があります。共有することで、企業と従業員の方向性が統一され、同じゴールに向かえるようになります。目指すべきゴールが明確だと、従業員のモチベーションは向上しやすいです。
反対に、企業が求める人物像や必要なスキルが曖昧だと、従業員は目指すべき場所が分からず、ただ単に人材育成を受けることになります。
明確な目標を設定する
人材育成を成功させるためには、明確な目標が不可欠です。目標を設定することによって、人材育成の計画が立てやすくなります。目標には定量的目標と定性的目標の2つがあるため、設定する際は内容だけでなくバランスも考慮しましょう。
定量的な目標は具体的な数値で設定する目標のことです。具体的には、「個人売上を月100万増やす」「月の商談数を20件増やす」などが挙げられます。それに対して、定量的な目標は、数値を使わずに設定する目標のことです。目標を達成するために必要な行動を表すため、行動目標とも呼ばれており、具体的には、「顧客のレスポンスを早くする」「新規顧客開拓に力を入れる」などが挙げられます。
人材育成は長期的に行うものですが、努力次第では短期間で達成できる目標も設定する必要があります。長期的な目標だけでは、ゴールに近づいているのか実感しづらく、モチベーション低下に繋がってしまうためです。
定期的に目標の振り返りを行う
目標を設定したら終わりではなく、定期的に目標を振り返りましょう。目標達成度を明確にするためには、スキルマップの作成が効果的です。目に見えないスキルや能力が可視化されるので、モチベーションアップに繋がります。
自身の成長を実感できる機会があると、従業員もより自発的に人材育成を受けてくれるはずです。反対に、目標達成度が低い場合は、改善点がないか探していきます。人材育成においてもPDCAサイクルは重要です。
「Plan(計画)・Do(実行)・Check(振り返り・評価)・Act(改善)」を繰り返し行うことで、より効率的に人材育成を進められます。
管理監督者となる人材も育成する
管理監督者となる人材に対してしっかり育成を行う必要があります。管理監督者は「監督もしくは管理の地位にある者」と労働基準法によって定義されています。一定の権限が付与されるため、組織にとって非常に強い影響力を持ちます。
管理監督者のスキルや知識が乏しいと、従業員が不安感や不信感を抱く原因になりかねません。管理監督者の言動によっては、離職に繋がる可能性も考えられます。従業員のモチベーションを向上させることも管理監督者の役目です。
管理監督者に対するフィードバックも行う
管理監督者に対するフィードバックも行います。フィードバックには、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの2つがあり、相手や状況に応じて使い分けが必要です。
ポジティブフィードバックとは、相手の行動に対して良かった点を評価し、肯定的な言葉で成長を促します。管理監督者のモチベーションを向上させたり、自己肯定感を高めたりしたい時に効果的です。
それに対して、ネガティブフィードバックとは、相手の行動に対して改善すべき点を指摘し、成長を促します。さらなるスキルアップを目指して欲しい時に効果的ですが、伝え方には十分注意が必要です。
管理監督者の人材育成やフィードバックを行える人材が社内にいない場合は、外部企業に依頼することも検討してみましょう。
新入社員を育成するポイント
新入社員を育成する際は、下記で紹介する3つのポイントを意識しましょう。
価値観の足並みをそろえる
従業員の価値観は、人によって異なります。そのため、新入社員を育成する際は価値観の足並みをそろえることが大切です。ただし、必ずしも従業員全員が同じ価値を持つべきという訳ではありません。
多様な価値観を有する従業員がいなければ、新しいアイデアは生まれないでしょう。それでも、組織は様々な価値観を有する人の集まりなので、業務を遂行する上で組織を束ねる必要があります。
価値観の足並みをそろえるためには、「明確にルールを定めること」「人材育成の目的や目標をしっかり共有すること」が重要です。
若手の考え方を尊重する
人材育成は「教える側」ではなく、「教えられる側」に合わせる必要があります。新入社員の話にも耳を傾け、考え方や意見を尊重することが大切です。若手にしか気付けないことも中にはあります。指導者側は自分が全て正しいと思わない様にしましょう。
やり方を押し付けない
人材育成は従業員一人一人の特徴に合わせて実施する必要があります。そのため、指導者のやり方を新入社員に押し付けないようにすることも大切です。指導者のやり方が必ずしも、新入社員に合っているとは限りません。
業務を遂行する際に、新入社員のやり方に問題がある場合は、押し付けるのではなく、あくまでもアドバイスとして指導者のやり方を提示すると良いです。強制や叱責は、指導者と従業員の信頼関係を築く時の妨げになります。
業務を遂行する際に、新入社員のやり方に問題がある場合は、押し付けるのではなく、あくまでもアドバイスとして指導者のやり方を提示すると良いです。強制や叱責は、指導者と従業員の信頼関係を築く時の妨げになります。
中堅社員を育成するポイント
下記では、中堅社員を育成する際のポイントを3つ解説します。人材育成を行う対象によって意識するべきポイントは異なるため、しっかりと違いを理解しておくことが大切です。
キャリアプランを明確にする
多くの中堅社員は、自身のキャリアプランが漠然としています。社内にどのようなポジションやキャリアルートがあるのか分からないという理由で、成長するべき方向性が定まらないケースが多いです。
そのため、中堅社員を人材育成する際は、キャリアプランを明確にする必要があります。キャリアプランが明確になると、目指すべき方向性も定まるでしょう。現状で足りないスキルも分かるため、モチベーション向上に繋がります。
リーダーや管理職に必要なスキルを落とし込む
中堅社員は自分の業務を遂行するだけでなく、後輩の指導やサポートもしなければなりません。そのため、中堅社員にはリーダーや管理職に必要なスキルも落とし込みましょう。後輩が上手く育てば、自分の仕事をある程度任せられるようになるため、両者にメリットがあります。
業務負荷とのバランスを調整する
中堅社員が抱えている業務量を考慮しながら、人材育成を行うことも大切です。自身の業務と人材育成のバランスが悪いと、企業の売上に直結する業務が滞ってしまう可能性があります。
中堅社員が抱えている業務量を考慮しながら、人材育成を行うことも大切です。自身の業務と人材育成のバランスが悪いと、企業の売上に直結する業務が滞ってしまう可能性があります。
また、人材育成が理由で中堅社員の負担が大きくなると、生産性やモチベーション低下にも繋がります。定期的に面談を行い、業務負荷と人材育成のバランスはどうか意見を聞いてみましょう。
人材育成で大切なこと
人材育成を成功させるためには、従業員とのコミュニケーションが不可欠です。下記では、人材育成で大切なことを3つ紹介します。
コミュニケーションを意識的に図る
コミュニケーションを意識的に図ることによって、指導者と従業員の信頼関係が築けるようになります。また、企業が求める人材像や目標も共有できるため、人材育成に対しての認識のズレも起こりにくいです。
柔軟性をもって対応する
人材育成は計画通り進まないこともあります。無理矢理進めようとするのではなく、柔軟性をもって対応することが大切です。従業員の意見を取り入れながら、必要に応じて計画も変更すると良いです。
目標の軌道修正を定期的に行う
目標は一回決めたら終わりという訳ではありません。定期的に目標の軌道修正を行うことが大切です。実際に人材育成を行ってみると、事前に決めていた目標が適切でないと感じる場合もあります。
目標を軌道修正する際は、「本当に軌道修正する方が良いのか」「なぜ軌道修正が必要なのか」を、客観的に検討しましょう。軌道修正を安易に繰り返してしまうと、目標設定の効果が薄れてしまうため、注意が必要です。
人材育成の具体的な方法
人材育成の方法は大きく分けて、「OJT」「Off-JT」「自己啓発」の3つです。OJTは職場での実践を通してスキルや知識を身に付ける方法です。上司や先輩が、実際の業務を通じて新人社員にスキルや知識を伝えます。研修やマニュアルよりも実践的なスキルを身に付けられるのが大きな特徴です。
研修など職場から離れて行われる人材育成はOff-JTと呼びます。実際の業務に取り掛かる前に、土台となる知識や理論を学ぶことが可能です。Off-JTを行うと、OJTでのスキルや知識が身に付きやすくなります。
その他、自己啓発も人材育成の一つです。この方法は、企業で行われる研修以外に、休日や隙間時間を利用し、勉強会や書籍などで必要な知識を取り入れていきます。従業員が主体的に学ぶという点が大きな特徴です。
人材育成はフォローアップが大切
人材育成はただ単に行うのではなく、フォローアップが大切です。フォローアップとは、既に始めたことや習ったことを、ある程度時間が経ってから繰り返し行うことを指します。研修効果の定着や離職率を低下させることを目的として、フォローアップを行う企業が多いです。特に新入社員は離職率が高い傾向にあるため、入社後の3年間はフォローアップが重要となります。