人材育成のコストや研修費の平均は?コスト削減の方法も解説

人材育成のコストは、担当者を悩ませる最大のポイントではないでしょうか?
コストをかけた方が良いのか、コストを削減する方法はあるのか、コストをかけられない場合はどうすれば良いのか…採用人数にも影響するため、一人あたりにいくらのコストをかけられるのかを理解することは非常に重要です。
この記事では、人材育成の担当者向けに、人材育成のコストに関するさまざまな課題を解決し、理解するためのポイントをくわしく解説します。
人材育成のコストでお悩みの方へ
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コストをかけて人材育成をしても、その社員が辞めてしまったら
せっかくのコストが水の泡になってしまいます。
それを避け、人材育成のコストに見合った成果を出すためのヒントが得られます。
人材育成にはどのくらいのコストがかかるのか?

人材育成のコストについて検討するのであれば、コストに関する現状や平均値を知っておく必要があります。人材育成にはどのくらいのコストがかかるのか、実態をご紹介しましょう。
社員一人当たりの教育研修費は3〜4万円程度が平均
民間シンクタンクの産労総合研究所が行った『2020年度 教育研修費用の実態調査』では、下記のような結果が報告されています。
引用:2020年度教育研修費用の実態調査|産労総合研究所 教育研修費用総額の2019年度の予算額は7,737万円、実績額は6,599万円、2020年の予算額は7,370万円で、前回調査と比較すると、いずれも増加している。従業員1人当たりの2019年度実績額は35,628円で、前回調査より1,021円アップ。2020年度予算額は39,860円。2019/2020年度で予算額を比較した場合に、「増加」41.9%、「減少し」45.7%で前回に続き減少が増加を上回る。教育研修費用総額の今後1〜3年の見込みは、「やや減少」、「かなり減少」が増加し、コロナ禍の影響を感じさせる。
2020年度の社員一人当たりの教育研修費用は39,860円、2019年度は35,628円という調査結果を踏まえると、30,000円~40,000円が平均ということになります。職種や人数などによって企業ごとに差異はありますが、おおよその平均値は押さえておきましょう。
企業によっては一人当たり50万円以上のコストをかけることもある
企業によっては、平均値を大きく上回るコストをかけて、人材育成を行っている企業もあります。「人を活かす会社調査ランキング」の上位5企業が従業員1人当たりに費やす研修費の額を発表しました。
順位 | 企業名 | 社員一人当たりの教育研修費用 |
1位 | DMG森精機株式会社 | 584,905円 |
2位 | 株式会社野村総合研究所 | 446,081円 |
3位 | 三井物産株式会社 | 433,685円 |
4位 | 積水化学工業株式会社 | 329,471円 |
5位 | 日立建機株式会社 | 318,877円 |
参考:人を育てる会社を目指すべき理由と研修制度を取り入れる際の注意点 | Schoo(スクー)法人・企業向けサービス
人材に投資を行うことで、人を活かす会社であると評価されています。平均値を大きく上回る教育研修費用を投資として行えるのは、従業員の教育に対する企業の意識が高いということを示しているといえるでしょう。
ですが、せっかくコストをかけて優秀な人材を育成をしても、その社員が辞めてしまうことは避けたいですよね。
ではどうすればコストをかけて育成した社員が辞めないか?
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ぜひ人材育成のコスト最適化や離職防止の参考にしてみてください。
人材育成にはコストをたくさんかけた方が良い?

人材育成のコストのかけ方は企業によって異なりますが、コストをたくさんかけた方が良い結果につながるのでしょうか?従業員の教育は、企業の将来性を左右するほどの重要性を持っています。人材育成に関するコストについて、2つのポイントをご紹介しましょう。
人材育成に関わる研修のコストはかけた方が良い
人材育成に関わる研修のコストは、削減するべきではありません。特に研修の質に影響するコストは、惜しまないことがポイントです。社員に学ばせたい内容を提供してくれる講師などには、コストがかかっても依頼するべきです。ニーズに合っていない講師に依頼するのは、研修本来の目的と外れてしまうので、避ける方が良いでしょう。
研修に直接的な関係がないコストは下げるのがおすすめ
研修の内容に直接関係のないコストに関しては、削減することがおすすめです。研修会場までの交通費・宿泊費・会場費など、研修の質に関係しない項目のコストは削減しても問題ありません。社員に負担を与えてしまうコスト削減は見直し、全体のコストを下げるために研修特化型のホテルの利用などを検討しましょう。
人材育成にコストをかけられない場合はどうすれば良いのか

人材育成をしっかり行いたくても、事情によってコストをかけられない場合もあります。
限られたコストの中で、人材育成を十分に行うためには、どのような方法があるのでしょうか。
人材育成のための研修内容や研修回数を再度見直す
人材育成のための研修内容や、研修の回数を見直してみましょう。特にコロナ禍において、変化を強いられた企業は多く、研修内容にも変化が求められています。以前の内容が現在の状況にマッチングしているかどうかを、再検討するべきです。不要な研修は削減し、注力しなければいけない研修を洗い出してください。
ここ数年で、企業の研修に向けたeラーニングやオンライン研修の種類が格段に増えています。サービスの価格帯も豊富になってきているので、自社の状況に適した研修の選択肢が増えたといえるでしょう。
人材育成の内容をマニュアル化してコストを削減する
人材育成の内容をマニュアル化することで、コストの削減につなげることができます。
マニュアルがない場合、研修内容や進め方などが属人化し、研修の担当者によって差異が生じやすくなります。誰が担当しても同じというマニュアルを作成することで、アップデートされていない内容を伝えたり、誤ったオペレーションを教えてしまったりという無駄な時間を省くことができます。研修の担当者にとっても、マニュアルという道筋があることで、計画的な研修の実施ができるため、総合的なコストの削減が可能になるのです。
人材育成でコストを削減しつつ費用対効果に見合うためのコツ

人材育成は企業にとって非常に重要なプロセスの1つですが、費用対効果を常に考える必要があります。コストを削減しつつ最大限の効果を上げるには、コツがあります。3つのコツをピックアップしてご紹介しましょう。
研修を自社で行わず外部に委託する
研修を自社で行わず、外部へ委託するという方法は、大きなメリットがあります。特に人材育成研修における質の向上や、コストの削減という面においては、自社で行うよりも外部への委託の方が良いケースが少なくありません。
外部へ委託すると、人事担当者の研修準備や採用にかかる労力、講師の負担を大きく軽減できます。担当者の業務効率化を図ることも可能になるので、費用対効果は上がるといえるでしょう。
ただし、自社のニーズにマッチしたものを選ぶ必要があります。ズレが生じる危険性もあるので、十分に比較検討することが重要です。
リモート研修やeラーニングのIT研修を導入する
リモート研修やeラーニングなどのIT研修を導入することで、コストの削減が可能になります。研修会場までの交通費・宿泊費・食費などは、リモート研修を導入することで不要になり、動画などの資料は一度作れば毎回用意する必要がなくなるからです。
IT研修は、インターネット環境があれば場所を問わず実施することができます。研修を受ける社員も自由に見直しや復習することが可能になり、移動時間などの制限がなくなることで、参加への意欲も高まるでしょう。
スキルマップを作成して効率よく人材育成を進める
スキルマップとは、従業員のキャリア、役職ごとに求められるスキルを時系列にしてまとめた表のことです。スキルマップを活用することで、人材育成の全体像が分かりやすく、従業員の現状に即した育成を行いやすくなるというメリットがあります。
スキルマップとは、従業員のキャリア、役職ごとに求められるスキルを時系列にしてまとめた表のことです。スキルマップを活用することで、人材育成の全体像が分かりやすく、従業員の現状に即した育成を行いやすくなるというメリットがあります。
各役職、各年次にふさわしいスキル・能力を洗い出し、時系列ごとに一覧化しましょう。スキルマップで可視化することにより、必要なスキルを体系的に把握できるほか、必要スキルの指導漏れを防いで、育成スピードを上げることができるようになります。年次ごとに目標を設定することで、人事考課にも役立てることも可能です。
人材育成にかかるコストを削減しても成功した実際の事例

人材育成には多くの費用をかけた方が良いのではないか、と感じている担当者の方は少なくないはずです。しかし、コストを削減しても人材育成を成功させた事例があります。成功事例を2つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ITの導入によって「集合研修のコスト削減」に成功
研修にITを導入することで、集合研修のコスト削減に成功した事例です。
- eラーニングとオンライン研修を導入した結果、集合研修の頻度を3分の2に削減することができた
- 社員の属性に合わせた研修の提供が可能になり、効率的に人材育成のプロセスを回せるようになった
- 学習塾講師の研修にeラーニングを導入することで、研修費用を25%削減することに成功した
オンライン研修やeラーニングは操作も簡単で、ITリテラシーが低い場合でも利用することが可能です。ITの導入で進捗状況や理解度を把握できるようになることも、担当者にとっては大きなメリットといえるでしょう。
ITの導入によって「人材育成の時間削減」に成功
人材育成の時間は、担当者にとって大きな問題になることがあります。ITの導入によって、人材育成の時間削減に成功した事例もご紹介しましょう。
- 研修準備にかける労力をカットでき、指導者が他業務に専念できるようになった
- 現場で戦力化するまでの期間を短縮でき、即戦力人材を効率的に増やせるようになった
- 社員一人ひとりの進捗状況やテストの結果が確認できるようになり、情報共有がスムーズになった
人材育成の最終目標である『企業に利益をもたらすことができる人材』を育て上げるには、一定の時間を要します。ただし、ITの導入によって効果的に時間削減ができた事例は、時間削減に悩んでいる企業にとって、注目したい事例でしょう。
人材育成にかかるコストは採用人数に直結する?

人材育成にかかるコストは30,000〜40,000円が平均値です。研修内容をどこまで厚くするのかによって採用人数は異なります。従来の研修方法だけではなく、ITの導入や無駄な費用の削減など、工夫次第では人材育成にかかるコストを下げることも可能です。研修費用ありきではなく、採用人数を大まかに決めてから人材育成にかかりそうなコストを計算して照らし合わせる方法がおすすめです。
人材育成にかかるコストを把握し採用に役立てよう

人材育成にはコストと労力がかかります。しかし、外部への委託やITツールの導入、オンライン研修などを取り入れることで、質を保ちながらコストの削減を行うことが可能です。人材育成にかかるコストをあらかじめ把握して、採用に役立てましょう。