ダイバーシティによる効果とは|必要性や取り組みを進めるポイント、事例を紹介
近年、働き方改革推進や人手不足解消のために、多様な働き方を受け入れる「ダイバーシティ」が注目されています。
ダイバーシティを採用することで新たなアイデアが生まれることもあります。
本記事では、ダイバーシティによる効果や、必要性や取り組みを進めるポイントについて紹介します。
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そもそもダイバーシティとはどんな意味?
ダイバーシティとは、広範囲な意味をもつビジネスの現場で使用されるようになった言葉のため、まずは語源の意味をしっかりと理解しましょう。
もともとダイバーシティには「多様性」「相違点」「多種多様性」といった意味が含まれています。
例えば、年齢・性別・国籍だけでなく、学歴・職歴・性的思考といった人々の多様性を認めます。多様性を認めたうえで、労働市場では「積極的に採用しよう」という動きも包括しているのです。
ダイバーシティという考え方は、アメリカで女性差別がない採用活動や社会での公正な処遇を実現する目的から活動が広がりました。日本では人権や労働人口減少という社会問題に応じて、人材確保のためにダイバーシティが重要視されるようになったのです。
現代の日本では、以下の6つの観点で「多様化容認」への取り組みが広がっています。
- 人種
- 価値観
- 宗教
- 性別
- 障がいの有無
- ライフスタイル
ダイバーシティが注目されている理由
ダイバーシティが注目されている理由として、以下の3つが挙げられます。
- 労働人口減少による人手不足を解消するため
- 多様な人材の活用でグローバルで競争力を高めるため
- 働き方の多様化に対応するため
IT技術の発展やグローバル企業の必要性が高くなったことで、日本でもダイバーシティを積極的に取り入れるようになりました。ダイバーシティの取り組みを行うようになった理由を詳しく説明します。
労働人口減少による人手不足を解消するため
少子高齢化などの影響によって、企業は必要な人材の確保が難しいことから、操業できない可能性が高くなっています。
内閣府が発表している「平成28年版高齢社会白書」によると、15歳〜64歳までの社会で働くのに適した人口(生産年齢人口)は、1995年をピークに2015年には1,000万人ほど減少していることがわかります。
さらに、2050年には、およそ2,000万人以上も減少すると予想されています。慢性的な人手不足に陥っている日本では、 多様性を認める社会・組織作りや人材を確保する必要性にせまられているのです。
多様な人材の活用でグローバルで競争力を高めるため
企業のグローバル化により、国や地域を越えて、日本企業の海外進出や海外企業の日本進出の両方が進んでいます。
これにより国際競争の激化は、さまざまな業界に徐々に広がり、多様な価値観をもつ世界中の顧客ニーズにマッチする商品開発やサービス提供を行っています。
そのため、企業は多様な人材を活用し、育成や採用に力を注ぐことになりました。
働き方の多様化に対応するため
近年、さまざまな雇用意識や価値観で仕事を捉えようとする人が増えています。
また、女性の労働人口の増加による影響で、家事・育児などに携わる男性の役割も変化しています。ワークライフバランスが重視される働き方が進む中で、 企業側も雇用意識や価値観などの働き方への対応や、企業との信頼関係の構築を図ることが必要です。
ダイバーシティの取り組みに対する効果
ダイバーシティの取り組みに対する効果として、以下の4つが挙げられます。
- 多様な人材確保につながる
- 創造性が高まる
- 社員のモチベーションが高まる
- 企業価値が向上する
それぞれ、詳しく説明します。
多様な人材確保につながる
多様な人材を確保できる環境をつくるためには、現在の制度や仕組みを見直す必要があります。
柔軟な働き方を設けることで女性や高齢者、障がい者、外国人など多様な人材の確保が期待できます。
働き方の多様化に合わせて、 従業員が働きやすい環境づくりができれば、社員の定着率向上につながります。
創造性が高まる
多様な人材が集まり価値観がぶつかることで、企業は活性化します。
性別や国籍、人種、バックグラウンドが違う人材が集まることで、今までにないアイデアが生まれ、新製品や新サービスの開発にも活かすことが可能です。
社員のモチベーションが高まる
多様な人材が能力を発揮することで、社員のモチベーションが向上し、それぞれの貢献意欲向上にもつながります。
多様な働き方にあった環境づくりや、平等に評価される制度を整えることで、モチベーションアップが期待できます。
企業価値が向上する
マッキンゼー&カンパニーやBCGなどが実施した調査によると、ジェンダーや外国人比率が高い企業は生産性が高く、技術の革新が起こりやすいという結果が発表されています。
ダイバーシティ推進への取り組みは、ブランドイメージを向上させ、社外からのイメージが良くなり信頼獲得につながります。
ダイバーシティで効果を得るポイント
ダイバーシティで効果を得るポイントとして、以下の2つが挙げられます。
- 企業全体で取り組む
- 長期的な取り組みが大切
それぞれ、詳しく説明します。
企業全体で取り組む
多様な人材が集まるということは、文化や価値観、考え方についても多様になる可能性があります。
その多様性の中から、新たな発想やイノベーションが生まれてくる場合もありますが、そこから生じる意見などに対して適切に対応する必要があります。その際に大切なのが「経営理念」を理解することです。課題に直面したときに、どのように解決するのが自社にとって最適であるかを、従業員一人ひとりが判断し、議論できることが重要です。
また、従業員が目的を理解することで、既存の職場風土や働き方を改革しやすくなります。
長期的な取り組みが大切
ダイバーシティの推進にあたっては、人事評価や配置などの人事処遇制度の整備や運用以外にも、職場マネジメントといった業務遂行方法など、全体での在り方を見直すことが大切です。
このような取り組みを体系的に進めるためには、施策を展開するための推進体制が必要となります。理由は、特定の役割と権限をもつ担当者を設置することで、活動を維持することが可能となり、他の部署からの支援を得やすくなるからです。
ダイバーシティを推進するための取り組みは、担当部署内で完結するものではありません。企業の競争力強化を目的としたものなので、目的を実現させるために経営企画部署や各事業部門などと密に連絡を取り合いながら、協力して施策を展開しましょう。
また、ダイバーシティは、多様な人材を確保した後は自然に成果が現れてくるというものではありません。ダイバーシティを推進し効果を得るためには、現状の課題を分析し、それに合った改善を行うなど長期的な取り組みが必要です。
ダイバーシティへの取り組みで効果を得た成功事例
ダイバーシティへの取り組みで効果を得た成功事例として、以下の2つを紹介します。
- 資生堂|積極的な女性活用
- スタートトゥデイ|6時間労働制の導入
ダイバーシティをどのように取り入れたのか、どのような変化が起きたのかを詳しく説明します。
資生堂|積極的な女性活用
資生堂は、積極的な女性採用を行い、コンプライアンス遵守と従業員が働きやすい環境整備の実現によって、企業イメージを高めています。女性登用を積極的に行っており、あらゆる差別や虐待、モラルハラスメントを許さない姿勢をとっています。全従業員の人格や個性、多様性を尊重し、最大限に能力が発揮できる環境や企業風土の創造、対話を通して従業員の成長を促進、公正な人事評価の実現、といった課題を設定し、ダイバーシティに取り組んでいます。
取り組みの成果として、2017年度には女性管理職比率30%を実現したり、長時間労働の削減と時間外労働を半減することができました。
スタートトゥデイ|6時間労働制の導入
「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイでは、6時間労働制を導入しました。育児中の社員が時短勤務をすることなく、保育園などの迎えに間に合うようになり、働きやすい環境づくりに成功しています。
さらに、障がい者スタッフも積極的に採用し、朝礼を手話で行うなどのコミュニケーションフォローを行える環境を整えています。
また、社員間のチームワークを重視することから、利益は全員で得たものとしてボーナスを均等支給にするなど珍しい取り組みも導入しました。
「社員一丸となって仕事に取り組む」ことを主軸とし、より一体感のある社内風土の実現にも役立っているのでしょう。
ダイバーシティへの取り組みで企業価値を高めよう!
ダイバーシティへの取り組みによって、新たな商品やサービスなどの考案が可能になります。
ダイバーシティをうまく定着させるためには、様子を見ながらアップデートしていくことが重要です。また、労働環境を見直すことで、従業員のモチベーションアップや新しいビジネスチャンスにもつながるでしょう。
ぜひ本記事を参考にしていただきながら、働く人にとって魅力的な企業を目指してみてください。