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人手不足なのに人件費削減をする理由とは?対処法を間違えると悪循環になる

人手不足なのに人件費削減をする理由とは?対処法を間違えると悪循環になる

どのような業種でも、固定費の中でかなりの割合を占めている人件費。
少しでも多くの利益を上げるためには、この人件費の削減が必要な場合もあります。
しかし、人手不足が深刻な中で安易に給与やボーナスをカットすれば、従業員は自分の仕事が十分に評価されていないと感じ、労働意欲が低下します。そして人材の流出からさらなる人材不足に陥り、生産性が低下してしまうというような、悪循環を招く恐れもあり、慎重さが求められる施策です。
本稿では、人手不足であるにも関わらず人件費削減を行う経営者側の考えや、人件費を削減された場合の対処法の解説、人件費を削る以外のコストカットの方法とその成功事例を紹介していきます。

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人手不足なのに人件費削減をした時に考えられる3つの理由

人件費を削減することで、一時的にではありますが、営業利益は上昇します。それでは具体的にどのようなメリットを求めて人件費削減に踏み切るのでしょうか。以下の3項目を見ていきましょう。

人件費削減によって赤字を少しでも相殺しようとしている

一人の社員にかかる人件費には、基本の給与以外にも賞与、教育費、光熱費、備品費、交通費、社会保険料などのあらゆる経費が含まれ、これらは固定費の中でも大きな比重を占めています。
この固定費を削ることで利益率を挙げ、売上減少による赤字経営からの脱却を図りたいと考えているのです。
赤字に追い込まれていることで、正しい判断ができなくなっていることも考えられますね。

人件費削減をすることで金融機関からの評価を上げようとしている

社員の解雇や減給により、経費が削減され、会社の経営状況が改善されれば、銀行からの評価上昇が期待できます。金融機関からの評価が上がれば、新規事業立ち上げで運営資金が必要になった際に融資を受けやすくなります。

人件費を削減した費用で設備投資を行おうと考えている

前述したように、人件費を削減するとかなりのコストカットになりますから、その浮いた費用で新たな設備投資や社員研修の実施、外部人材を起用することで、業務効率や労働環境の改善が期待できます。

人手不足なのに人件費削減をされた時の3つの対処法

賃金カットや人員整理のように、従業員に負荷をかけるような施策だけが、人件費削減の手法ではありません。ここからは、業務の効率化を図ることで、人件費を抑える方法を紹介していきます。

ITツールの導入によって業務効率を上げて人手不足を補う

業務効率が悪いと時間外労働や休日出勤が増え、人件費がかさみます。そんな時には、まず業務フローの内容を見直すことをおすすめします。
計算システムを導入すれば勤怠管理や給与計算を自動化でき、WEB会議ツールを活用することで、通勤や出張にかかる移動時間を短縮できます。
長時間労働による労働基準法違反を防ぐ意味でも、ITツールを積極的に導入して、業務の効率化を図り、人手不足を補いましょう。

業務が全員に均等に振り分けられているかを見直す

社内人材と業務量がアンバランスな「業務過多」が常態化していると、能力の高い社員に業務が集中し、負担を強いられた社員が体調を崩す危険性や、辞めてしまう可能性が高くなり、さらにリソースが圧迫されるという悪循環に陥りかねません。
対策としては、「業務効率」と「生産性」の両面を可能な限り視覚化、数値化し、社員同士で共有することが望ましいですね。
改善をどのように進めればいいかわからない場合は、必要に応じて専門のコンサルタントに業務計画を作成してもらうなどをして、定期的に各々の仕事量を見直す機会を作りましょう。

業務をアウトソーシングして効率的に業務を進める

自社のリソースだけで業務を賄えるのであれば、アウトソースを利用するよりも費用は抑えられますが、日々進歩するテクノロジーに対応できる人間を都度採用することは、効率も悪く非現実的と言わざるを得ません。
代行サービスや副業人材といったアウトソースを利用すれば、専門の知識や技術を持った即戦力人材に、必要な時だけ業務を外注することが可能なため、社内で新たに採用するよりも効率的に業務を進めることができます。

人手不足なのに人件費削減をするとどうなるのか?

人手不足の状態で人件費削減を行ってしまうと、あらゆる方面に悪影響を及ぼす可能性があります。では人件費を削減した場合に生じるデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

社員のモチベーションが低下し人手不足になる恐れがある

人件費削減の取り組みとして、給与やボーナスをカットされた社員は、当然モチベーションが下がります。また、リストラが行われれば、残された社員は「次は自分の番かもしれない」と不安になり、退職や転職を考えてしまうでしょう。
そのため人件費を削減することにより、会社は優秀な社員を失い、長期的な人員不足という悪循環に陥りやすくなります。

人材育成に大切なことについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
人材育成に取り組む上で大切なことは?人材育成の考え方を変えることの重要性

企業のブランド力が低下し周りからの印象が悪くなる

人件費の削減により、企業の信用やブランドイメージに傷を付ける可能性があります。特に、人員削減などの大きな施策を行えば、「もうこの企業には人件費を削る以外に残留余地がない」と見なされ、ブランド力や社会的評価を大きく落とす原因になり、新たな人材の獲得や、新規ビジネスの立ち上げといった、次の打ち手を講じることも難しくなるでしょう。

人件費削減による人手不足で残業が増える

人件費削減後に残された社員が、特に負担に感じるケースとして「時間外労働が増える」ことが挙げられます。人を減らし、残った社員に無理な残業を強いて対処しようとすれば、「ブラック企業」のレッテルを貼られてしまい、WEBサイトなどのブラックリストに掲載されてしまうかもしれません。
「今だけなんとか耐えて欲しい」と、将来のビジョンを語りつつ、社員に頭を下げられるような経営者であればついてくるスタッフもいるかもしれませんが、ワークライフバランスが重要視されている昨今では、いくら残業代が出ようとも、受け入れられずに不満が溜まる可能性が高いですね。

人手不足でも人件費削減をせずにコストを下げる方法

ここまで、人件費を削減した場合のさまざまな問題点をいくつか紹介してきましたが、このようなリスクの大きい施策を行い、失敗してしまう前に、既存の業務やシステムを見直すことで、コストを下げる方法も知りたいですよね。以下のような取り組みが、まだ進んでいないようでしたら、経営者サイドにぜひ提案してみてください。

人材育成のコストに関することはこちらの記事もご覧ください。
人材育成にはどのくらいのコストがかかる?費用対効果に見合うようにするコツ

ITツールを導入しペーパーレス化によって紙の使用頻度を下げる

前項の対処法でも述べたように、ITツールの導入により、業務効率は大きく改善されます。
特に、これまで紙で管理していたものを、ITツールでペーパーレス化できれば、面倒な書類整理や紛失の懸念がなくなり、コピーやプリントアウトに必要だった用紙代やインク代もカットできますので、経費削減に繋がります。
また、「環境への配慮」という点で、企業のイメージアップも期待できます。

事務作業や電話対応などの既存業務を外注化する

直接的に利益をもたらすことのない「ノンコア業務」は、思い切って外注に頼ることで、社内のリソースを割くよりもコスト削減になる場合があります。
データ入力や、テレアポなどはもちろんのこと、専門的な知識を要する業務でもアウトソースを利用すれば、自社で新規に採用し、研修を行う必要がなくなり、それに伴う経費が削減されます。また、ナレッジの豊富な人材がジョインしてくれるため、業務のクオリティーがアップするという効果も望めるでしょう。
必要な時だけ業務をアウトソースすることで、固定費として嵩んでいた人件費が変動費化しますので、閑散期で減収した際にも安心です。

既存社員の人件費を削減するより採用活動を適正化する

既存の社員に対して、賃金カットやリストラを行うことは、社員の労働意欲を損ない、人材の流出などが懸念されるため、慎重さが求められますが、「未来の社員」を対象とした、採用活動を見直す施策なら、今すぐにでも取り組めますよ。
例えば、求人サイト以外にSNSを活用するなど、広告の出稿先を再検討してコストを下げたり、熱意を持って採用活動を行える人間を人事担当に据え、研修を実施したりするなど、採用活動を適正化できれば、結果的に人件費を抑えることにも繋がります。

人手不足の解決策をより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
企業における人手不足問題の解決策8選!要因や取り組みの例も紹介

人手不足の原因になる人件費削減をせずにコストを下げた企業の事例

人件費削減に踏み切ることなく、経営状況を向上させた会社はいくつもありますが、その中でも特に、ITツールの活用によりコストカットに成功した事例を3社紹介します。

株式会社Warisが交通費とオフィスコストの軽減に成功

「すべての人に、自分らしい人生を。」をコンセプトに掲げ、女性のハイキャリア人材と企業のマッチングをサポートする「株式会社Waris」は、ほとんどの業務にテレワークを採用することで、交通費やオフィスコストの軽減に成功しました。また、勤務時間をコアタイム2時間、早朝5時から22時までのフレックスタイム制にすることで、ワークライフバランスを保ち、優秀な人材の流出も防いでいます。
テレワークで懸念される、運動不足やスタッフ間コミュニケーションの希薄化を解消するべく、有志のヨガプロジェクトのサポートや、コミュニケーションの機会を設けるために、月に一回ランダムに指名されたスタッフ同士でランチ会(費用会社負担)を開催するなど、デメリットへの対策も講じています。

株式会社かんきょうがテレビ会議導入で移動コストの軽減に成功

福祉用具や介護用品のレンタル・販売事業の拡大で、拠点を増やしている「株式会社かんきょう」。
東北地方に10箇所以上もの拠点を構える同社では、冬場の降雪事情も関係し、広域の移動コストが年々増加していることに苦慮していました。
そこで、テレビ会議システムを各拠点に導入し、オンラインで会議や情報共有を行うことで、移動コストや業務不在時間を大幅に削減することに成功。来客や電話応対のために離席が困難な営業事務職も、自席で会議に参加できるようになったため、通常業務を止める必要がなくなり、業務効率が格段にアップしたのです。

ヤマサハウス株式会社がスマホ支給によって時間コストの軽減に成功

一般的に離職率が高いと言われている住宅営業ですが、鹿児島県で住宅設計・施工・不動産売買などを行う「ヤマサハウス株式会社」では、5年連続離職率ゼロを実現させています。その背景には、全社員にスマートフォンを配布する施策や、ITツールの導入、営業の悩みを解消する目的の取り組みがありました。
拠点のある鹿児島県は広大で、スタッフや顧客とのコミュニケーションのために移動コストが経費を圧迫していましたが、スマートフォンを用いたテレビ会議を積極的に取り入れることで、打ち合わせなどが効率化し、社内決裁に関しては、電子申請システムの導入による業務改善で、時間効率がアップしました。
更には、専門の顧問による社内研修の実施や、営業の悩み相談を受けられるサポート体制を整えたことで社員の定着に繋がり、採用コストが抑えられ、組織能力も向上するという、理想的なサイクルが生まれたのです。

人手不足なのに人件費削減をされたら業務に支障が出ないような工夫が重要

今回の記事では、人手不足なのに人件費を削減する理由や、問題点、対策について触れてみました。
必要経費として大きなウェイトを占める人件費ですから、経営者側としても、やむを得ず人件費削減に踏み切ることもあるかと思います。
しかし、給料を減らすなど、大切な社員のモチベーションを下げるだけの施策では、結局業務に支障をきたし、さらなる業績悪化を招く事態になりかねません。
社員に負担をかけるような取り組みを実行する前に、各部署でその他の経費の見直し、新たなシステムの導入、アウトソーシングを活用することで、業務効率化やコストを下げられる余地が無いか検討する場を定期的に設けるなど、社員全員がコスト削減という課題への理解を深め、適正な人件費を維持できる仕組みを考えることが重要です。

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この記事を書いた人

SAL編集部
SAL編集部 SAL henshubu

株式会社SAL

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